性暴力がなくならない中で、女性の意思に反した性交にもかかわらず、相次ぐ
無罪判決に抗議して、各地で被害者に寄り添う心情を花で表現する「フラワー
デモ」が開催されています。花柄の洋服を着たり、生花を手にしたりした参加者が
次々にマイクを握り、自身の被害経験や無力感、憤りなどを語ります。11日には、
大阪市で開催され、女性を中心に約250人が集まりました。呼びかけ人で作家の
北原みのりさんは「合意があったと男性が勘違いしたから無罪になる。さっぱり
わからない。裁判官のジェンダーの視点を問い直したい」と訴えました。フラワー
デモは、先月、東京で開催され、11日には大阪のほか、東京や福岡でも開催
されました。今後も毎月11日に各地で開催する、ということです。性暴力の被害
当事者などの団体「Spring」(東京)は、13日に、山下法相に、刑法の運用
見直しや改正を要望しました。最高裁の大谷直人長官宛の要望書も担当者に
渡しました。要望書では、19歳の実の娘に対する準強制性交罪に問われた父親
に無罪判決を言い渡した3月の名古屋地裁岡崎支部判決について「抵抗は
恐怖の時の反応として必ずしも一般的でなく、混乱によって動けなくなってしまう
こともある」と批判しています、暴行や脅迫によって抵抗が著しく困難な状態だった
と認定されなければ、強制性交罪などは成立しないとする現行法を見直し、
同意がない性交を罰する罪を創設するよう求めました。2017年の刑法改正で
強姦罪の罪名を強制性交罪に改めた際にも、抵抗が著しく困難だったことが必要
とされる「抗拒不能」の認定を外す意見は出ていましたが、見送られた経緯が
あります。福岡地方久留米支部の判決では、抗拒不能ではあったが故意が認め
られないとして無罪を言い渡しています。酔いつぶれた女性と性交した男性に
ついて、女性が許容していると誤信する状況にあったとしています。法相への
要望では、さら、に同意がない性行為を犯罪として処罰することを求めています。
イギリスなど欧米では、同意がない性交を犯罪としている国が、いくつもあります。
2017年の刑法改正の時は、共謀罪法や加計学園問題などがあり、十分審議が
尽くされたとはいえない状態でした。付則に「3年後の見直し」が盛り込まれて
いますので、それに向けて、性犯罪の成立要件を、しっかり議論すべきだと思い
ます。性暴力は、人権侵害です。恐怖などで抵抗できない、男性が同意している
と誤信した、ということで無罪になったのでは、たまりません。性暴力は犯罪、と
いう意識を、社会全体で広げていくことも重要だと思います。