トランプ米政権は、米中貿易摩擦について、中国からの輸入品2千億(約22

 

兆円)分に対する追加関税率を10日に10%から25%に引き上げ、制裁を強化

 

する方針を表明しました。米中貿易協議は、「90%を超える部分で決着した」

 

(米国商業会議所幹部)状況までたどり着き、閣僚級協議が4月30日から2日間

 

北京で開かれました。しかし、ブルームバーグ通信よると、北京での閣僚級

 

協議を終えて帰国したライトハイザー通商代表の報告が、知的財産侵害を防ぐ

 

ための国内法改正を合意に盛り込むと約束したのに、中国側がひるがえした、

 

というもので、それにトランプ大統領が激高した、と報じられています。ライトハイ

 

ザー氏は「この1週間ほど、中国がすでに合意した約束を崩していくのを目の

 

当たりにした」と語りました。中国側が態度を変化させたことについて、香港英字紙

 

サウスチャイナ・モーニング・ポストは、合意案は中国側にとって譲歩を強いられる

 

が多く、周近平国家主席は、内容の説明を受けて拒否した、とのことで、中国

 

国内は保守派が声をあげ、交渉団への風当たりも強い、ということです。トランプ

 

氏の交渉術で、堅調な米景気を背景に「関税合戦」を耐え抜けるという自信を

 

にじませているそうですが、小康状態にあった米国と中国の貿易紛争に、油を

 

注いだ、と懸念されています。対立の大きな理由には、中国が経済成長に

 

こだわって、対中投資を行う先進国に対して、技術移転を強要していることが

 

あります。米国が追加関税を発動して譲歩を迫ったことで、中国は対策に乗り

 

出したとされていました。米国が、力で強行に交渉を進めても、中国が態度を

 

硬化させれば、元も子もありません。米中貿易摩擦に暗雲がたれこめたことは、

 

すぐに世界の経済に影響を与えます。日本でも、10連休が明けて令和最初の

 

取引となった昨日7日の株式市場で、株価は下落しました。一時250円以上下落

 

し、およそ1ヶ月ぶりに2万2千円を下回りました。米中摩擦再燃に懸念して、と

 

いうことです。また、中国は、これまで日本にとって、貿易赤字の削減を迫る

 

トランプ氏の要求をかわす上で風よけとなってきた、ということで、協議が行き

 

詰まると、大統領選を来年に控えてトランプ氏が外交成果を焦って、日本との貿易

 

交渉で早期決着を目指し圧力を強める展開になることが、心配されています。

 

米中両国には、冷静に協議を重ねてほしいと思います。