3日前の4月2日の閣議で、政府は、エジプトのシナイ半島でイスラエル、エジプト
両軍の停戦監視活動をする「多国籍軍・監視団(MFO)」の司令部要員として、
陸上自衛隊の幹部自衛官2人を派遣する実施計画を決定しました。2015年に
成立した安全保障関連法で新設された、国連が統括していない任務「国際連携
平和安全活動」の初適用になる、ということです。実施計画によると、2人の派遣
期間は、4月19日から11月30日までで、主な任務は両軍との連絡調整で、
MFOの要求に基づいて拳銃と小銃を携行する、と報じられています。この2人の
他に、カイロにある日本大使館に日本とMFOの間の連絡調整を行う要員を1人
派遣する、とのこと。政府は、薗浦首相補佐官などを現地に派遣し、事前に視察
させた結果、紛争当事者間の停戦合意などを定めた「PKO5原則」を満たすと
判断しました。2017年5月に撤収した南スーダンPKO以降、自衛隊の部隊派遣
は途絶えている一方、安保関連法が施行されてから、自衛隊の活動は幅を広げ
てきています。新たな任務に基づく海外派遣の実績をつくりたいという政府の思惑
が背景にある、といわれています。岩屋防衛相は、「国連が統括するPKOでなく
ても参加できることになり、国際貢献の幅が広がった」と述べ、派遣の意義を強調
しました。PKOが住民保護のため武器使用を避けられないものに変質し、部隊を
派遣できなくなっていることの裏返しと述べる専門家もありますが、安保関連法に
ついて、もっと国民の理解を得る努力を政府はするべきで、派遣を実施することで
実績づくりをするのは、順序が違うのではないでしょうか。