文部科学省は、昨日26日、2020年度から小学校で使用される教科書の検定
結果を発表しました。約10年ぶりに見直された新学習指導要領に対応した初めて
の検定で、5、6年で教科化される英語は申請の全7点が合格しました。自ら問い
を立てて対話しながら考える要素が盛り込まれ、現在の教科書と比べて平均
ページ数は約10%増え、英語も含めると約14.2%増えたそうです。
「主体的・対話的で深い学び」を意識した作りで、学び手が ①学ぶことに興味や
関心を持ち、見通しを持って粘り強く取り組む ②他人との意見交換や議論を
通し、自らの考えを広げたり深めたりする ③知識を関連付けて深く理解したり、
自ら問いを見出して解決策を考えたりする、という特徴がある、ということです。
これは、自分で考えられる子どもを育てるために必要なことで、ご尤もと思います
が、どのように実現していくかです。教員の働き方改革がいわれ、教員の負担
軽減や、若手教員が増加していることから、「どのように学ぶか」について、学び
の過程まで丁寧に書かれていて、先生に親切な設計、といわれています。それは
理解しますが、そうすると画一的な授業になりすぎるのではないかと心配にも
なります。また、教育現場で長年扱われてきた北方領土だけでなく、竹島(島根
県)、尖閣諸島(沖縄県)についても、「日本固有の領土」と明記されました。
これは、新学習指導要領で、竹島や尖閣諸島について「我が国の固有の領土で
あることに触れること」と明記されたからです。検定意見で、日本政府のスタンスを
加えることを求められた、ということです。例えば、東京書籍の5年の教科書では
竹島について「日本固有の領土ですが、韓国が不法に占領しています」という
記述について「我が国の立場を踏まえた現況について誤解するおそれがある」と
意見がつき、「韓国が不法に占領しているため、日本は抗議を続けています」と
いう表現になった、と報じられています。政府見解を徹底する方針のようですが、
相互理解が進むように、これまでの経緯や相手国の意見も入れながら、子ども
たちに考えさせるようになればよいのではと思います。これだけグローバル化が
進み、価値観が多様化している中で、自ら考えて行動できる子どもを育てることは
至難の業という感じもしますが、よりよい方向に教科書がなることを望みます。