業界が、国立大学教授に寄付金で攻勢を仕掛けていることが報じられています。

 

都市ガスの規制緩和を議論する経済産業省の審議会と、携帯電話料金に関する

 

総務省の審議会で、業界団体や企業が委員に寄付をしていたことが、相次いで

 

明らかになりました。総額は、委員就任前の分を含めて8千万円超で、規制改革

 

の影響を避けたい業界側と、研究資金不足に悩む学者側の構図が見えます。

 

違法性はない、ということですが、業界側から多額の金銭支援を受けた学者が、

 

政策立案の重要な立場を担っていて、官庁もその影響に注意を払っていないこと

 

は、問題だと思います。電力・ガス基本政策小委員会と下部組織で、審議会トップ

 

の一ツ橋大学大学院経営管理研究科の山内教授は、中心的役割を担っています

 

が、日本ガス協会から1400万円の寄付を受け取っていました。山内教授は、

 

携帯料金値下げを審議する総務省の審議会でもトップを務め、携帯大手2社側

 

からも寄付を受けていた、ということです。審議会に金銭授受を制限する規定は

 

なく、委員23人中9人が所属する国公立大学に、共同通信が情報公開請求し、

 

ガス協会から寄付を受けた3人の記録が開示されました。違法性はなくても、

 

中立性が疑われる事態で、公正な審議は期待できないのではないかと思います。

 

受け取っていた委員は、審議への影響を否定していますが、関係者は「先生には

 

’注射’をしてある」と話している、と報じられています。内閣府によると、法律や国

 

の制度に関して専門家などが議論する審議会は、2017年8月時点で、各省庁に

 

計129あります。審議会の委員は、長年、省庁と親しく、いくつもの審議会の委員

 

をかけもちしている人もいます。このような公正さが疑われる事実が明らかに

 

なったことを機会に、審議会の委員選任のあり方、委員と業界の関係などを

 

見直してもらいたいものです。