第198回通常国会が28日に召集され、天皇陛下は最後の開会式に臨まれ、
「国民の信託に応えることを切に希望します」とおことばを述べられました。最近の
国会を見ると、審議軽視の強行採決が目につき、とても国民の信託に応えている
とは思えません。安倍首相の施政方針演説では、厚生労働省の「毎月勤労統計」
の不正調査問題で、初めて国会で陳謝しました。全体として、既存の政策の
繰り返し、自画自賛が多く、「平成の、その先の時代に向かって」と7回も繰り返し
ていましたが、具体的なビジョンは示されなかった、と報じられています。多くの
課題が山積しているのに、訴える力の弱い演説だったと思います。昨日から
始まった代表質問では、野党は、厚生労働省の不正調査について、根本厚労相
の罷免を求めましたが、安倍首相は改めて否定しました。また、ロシアとの平和
条約交渉をめぐっては、ロシアが異論を唱える「北方領土」ということばを使い、
日本に四島の「主権」があると明言しました。これまでの立場を後退させたという
疑念を払しょくすることを意識したものと思われますが、自国領だと主張するロシア
側の反発が予想され、国内世論とロシアの出方を同時にみながらの苦しい答弁と
なっています。昨年の国会では、財務省の公文書改ざんなど、政府の不祥事
が相次いで起きましたが、立法府である国会が、十分にチェック機能を果たせた
とはいえず、大島衆院議長が自省を求める異例の所管を発表しました。統計の
不正調査は、政策決定のもとになる統計が正しくなかったということで、立法府の
行政監視の力が問われています。与党野党を超えて、立法府としての役割を
しっかり果たしてもらいたいと思います。