厚生労働省が医師の働き方改革の検討を行っていますが、焦点となっている

 

地域医療の中核を担う医療機関の勤務医については、年間の残業時間の上限を

 

1900~2000時間とする、という厚労省の制度案は、医師に過重な労働を

 

強いることになると思います。勤務医一般の上限を年960時間とする一方、大幅

 

な時間削減は地域医療を崩壊させる恐れがあるとして、特例を認める、というもの

 

です。医師は、政府が進める働き方改革の残業時間規制を5年間猶予されていて

 

、規制が適用されるのは2024年度から10年以上先の35年度末まで続く、との

 

こと。これでは、過労死する医師が減ることはないのではないでしょうか。特例の

 

時間外2000時間は、一般の会社員などの年間総労働時間に相当します。月

 

あたりおよそ160時間の残業になり、過労死の労災認定基準である月平均80

 

時間の2倍にあたります。命を預かる医師に、一般の会社員の2人分働けという

 

のは、どう考えても酷な話だと思います。地域医療を担う医師を増やすことが課題

 

で、その地域で働くことを条件とした養成も進められていますが、追い付いて

 

いないのが現状だと思います。厚労省の検討では、17日に、終業から始業まで

 

に一定の休息時間を設ける「勤務間インターバル」について、休息時間を9時間と

 

する案が示されました。9時間とされるのは、通常の日勤で適用されるインター

 

バルで、当直明けでも帰れずに診療に当たるケースも多く、当直前後には28時間

 

の連続勤務時間制限を設け、当直明けのインターバルは通常の2倍の18時間に

 

する、ということです。現状では、最長の連続勤務が28時間未満になっている

 

ところは、3割しかないとされ、この上限で地域医療は大丈夫なのかという声が

 

医療法人の理事長を勤める委員からあった、と報じられています。また、救急

 

医療に従事する若手医師は、長い残業上限が検討されていることについて「それ

 

では今の働き方と変わらないのではないか」と不満を示した、とのこと。医師の

 

長時間労働を減らすため、手術に伴う業務などの一部を医師から看護師に移す

 

ことを促す方針を厚労省は決めています。医師から手順書で事前に支持を受けた

 

看護師が診療を補助できる制度の研修を見直し、麻酔や手術を受けた患者の

 

管理を担える環境を整えます。このように、医師でなければ行えない業務を精査

 

することも、もちろん命に関わることですから、慎重さが求められますが、是非、

 

していってほしいと思います。小児科医である夫を過労自殺で亡くした、過労死を

 

考える家族の会代表の中原のり子さんも、厚労省の時間外労働の方針を批判

 

しています。中原さんは、議員だったころに存じあげています。娘さんが、やはり

 

小児科医になられています。過労死をする医師をなくすために、今回の医師の

 

働き方改革はチャンスだと思いますので、実効性のある政策を実現してもらいたい

 

と考えています。