大学生など15人が死亡した軽井沢町でのスキーバス転落事故から、今日15日
で3年になりました。3年前の今日は、明け方からヘリコプターの音などで、何事か
と思ったことを思い出します。検死をされた軽井沢病院の先生は、今も毎月、お参
りをされている、ということです。慰霊碑「祈りの碑」が立つ現場には、昨日14日、
遺族をはじめ、学生時代に友人を亡くした仲間などが訪れ、犠牲者の冥福を祈り、
事故が繰り返されないよう願っていた、と報じられています。首都大学東京の学生
時代に友人を亡くし、自分たちもけがを負った友人4人も訪れ、そのうち3人は
社会人になっています。スキーバスを手配し、幹事役をした当時学生だった男性
は、今でも、スキーに誘わなければ、あの会社を選ばなければ、と自分を責めて
いる、ということも伝えられています。亡くなった方の遺族の方たちも、生き残った
友人たちも、様々な思いを抱き続けていることがわかり、切なく思います。この
事故の後、対策がとられて事故が減っているかというと、残念ながら、そうでは
ありません。貸切バスの事故は、今も年間400件ほどある、とのこと。事故を起こ
したイーエスピーは、国の基準額の下限を下回る安値で仕事を請け負っていま
した。国は、不当な安値防止へ規制を強化しましたが、業界の実態は変わって
いません。下限未満でないと仕事はもらえないのが、今も業界の暗黙のルールだ
とバス会社の人は話しています。運賃は下限ぎりぎりで契約しても、「手数料」の
名目で半額位しか受け取らない、下限額の5~6割ほどが相場、ということです。
バス業界は、閑散期と繁忙期があり、閑散期に受注するには、繁忙期に安値で
引き受け、バス会社に恩を売る必要がある、と。事故を減らすためには、過当競争
の抑制や労働条件の改善など、構造的な問題に取り組む必要があります。
国交省は、事故のあと、立ち入り検査のやり方を見直して、昨年度末までに606
件の監査を実施し、違反を是正させ、是正が確認されなかった2事業所は事業
許可を取り消しています。安全第一の対策を、見直しをし続けながら地道に進めて
ほしいと思います。社長などを警察が書類送検したのは、事後から1年半後、と
いうことです。社長個人の責任だけでなく、会社の責任を問う声が遺族の中には
ありますが、組織罰を導入するには、刑法体系全般の見直しが必要になり、多く
の課題が残されたままです。軽井沢でのバス事故の時にも、数十年前に長野県
の青木湖で起きたバス事故での教訓が、いかされていないといわれました。
かけがえのない命が失われたことを忘れることなく、実効性のある対策をし続けて
もらいたいと願っています。