賃金や労働時間の動向を把握する厚生労働省の「毎月勤労統計」の不適切な

 

調査問題で、厚生労働省は、昨日11日、統計を基に算定した雇用保険の失業

 

給付や労災保険などの過少支給の対象者は、述べ1973万人で、総額は537

 

億5千万円に上った、と明らかにしました。過少支給のあった全対象者に不足分

 

を追加支給する、ということですが、住所のわからない人などもいて、膨大な作業

 

になりそうです。昨日は、根本厚労相が、調査結果を発表し、謝罪しました。

 

不適切な調査というのは、勤労統計は従業員500人以上の事業所は全て調べる

 

ルールですが、2004年から東京都内の事業所は対象の1400事業所のうち、3

 

分の1程度しか調べていなかった、というものです。担当者は不適切と認識

 

しながら、組織内で情報を共有せず放置していて、担当者間で引き継がれてきた

 

可能性がある、と報じられています。調査を正しく装うために、データの改変ソフト

 

も作成している、とのこと。そして、昨年2018年1月分からは、全数調査に近づけ

 

る統計上の修正を施していますが、その経緯は公表されていません。東京には、

 

賃金の高い企業が多く、それが3分の1しか調査していなかったので、賃金水準が

 

実際より低く出ていて、それで追加支給が必要になるわけです。厚労省は、不足

 

分は全て追加支給するとしていますが、1千万人以上は住所が把握できず、

 

すでに死亡した人もいる可能性があります。支給にはシステム改修が必要で、

 

対象者には手紙で連絡する、ということですが、実施への道は厳しい、とされて

 

います。毎月勤労統計は、他の多くの統計にも使われていて、影響がどれだけ

 

広がるか懸念されます。また、エコノミストなどからは、経済分析が成り立たない、

 

と批判されています。なぜ、厚生労働省で、調査などのミスが相次いているのか、

 

原因の究明と再発防止が欠かせません。もちろん、ずさんな調査で、国民に直接

 

の影響が出ることは、許されることではありません。ひとつ考えられるのは、厚生

 

労働省の職員が忙しすぎることもあるのではないかと思います。公務員の削減

 

が、年々進められ、もちろん不必要な人員は削減するのですが、公務員の時間外

 

勤務でワースト1とワースト2が、旧厚生省と旧労働省なのです。超少子高齢社会

 

の社会保障など、仕事は増える一方なのに、全省庁の中でも厚生労働省の人員

 

が少ないという事実があります。根本まで遡って、原因を究明して、対応してもらい

 

たいと思います。