私的な投資の損失を日産自動車に付け替えたなどとして、会社法違反(特別

 

背任)の疑いで再逮捕された前会長カルロス・ゴーン容疑者(64)は、昨日8日、

 

東京地裁で開かれた勾留理由開示手続きで、英語で約10分にわたって、「容疑

 

はいわれのないものであることを明らかにしたい。無実だ。不当に勾留されて

 

いる」などと主張し、各メディアが大きく報じています。昨年11月19日の逮捕

 

以来、公の場に姿を見せるのは初めてで、弁護人は、手続き終了後、勾留の

 

取り消しを東京地裁に請求し、日本外国人特派員協会で記者会見し、検察の

 

捜査手法を批判しました。ゴーン容疑者が、勾留満期の今月11日に起訴された

 

場合、保釈を請求する、と大鶴弁護士は、明らかにしました。勾留理由開示手続き

 

を求めるのは、勾留が不当だと社会にアピールする目的が多い、とのこと。2017

 

年には、全国の裁判所で474件実施されましたが、勾留決定10万4529件の

 

ごく一部の事件といえます。この事件は、2回の有価証券報告書の記載をごまかし

 

た金融商品取引法違反容疑による逮捕に加えて、3回目として特別背任の容疑

 

で、東京地検特捜部が逮捕し、保釈の予想を覆したことは、驚きをもって受け止め

 

られました。そもそも日産によるクーデターだとか、権力が集中しすぎていたことに

 

よる弊害だとか、見方がいろいろあり、素人の私には、よくわかりません。今回の

 

無実の主張に、検察側の見かたは冷ややかと報じられていますが、裁判所に

 

公開の場で勾留の根拠を説明させる手続きは、不利になるリスクがあるにも関わ

 

らず、日産への功績、損害は与えていないこと等を述べ、海外に向けて犯罪は

 

犯していないことの理解を求める意図もあったのではないか、とみる専門家の

 

見解も紹介されています。事実がしっかり解明されることを望みます。

 

一方で、検察が起訴すれば99%が有罪になること。また、自白するまで長期間

 

勾留する「人質司法」ともいわれる、日本の検察のやり方に、海外からの批判が

 

集まっています。弁護士なしの取り調べも批判されています。この事件によって、

 

検察、司法のあり方が問われることは、ひとつの副産物かと思います。