超少子高齢社会で、社会保障の中でも、介護がこれから、財政的にも人手の面
でも一番大変な問題になると思われます。国会で、社会保障と税一体改革の
議論をしていた時にも、社会保障は、保険料6割・税4割で運営されていますが、
介護は5割ずつにしないと無理ではないかという話が出ていました。最近の介護に
関するデータから拾ってみます。ひとつは、千葉大などの研究グループの調査で、
1週間に7回以上湯船につかって入浴する高齢者は、週2回以下の人に比べて
要介護認定のリスクが約3割減少するという結果が発表されました。グループの
千葉大教授は「長時間労働の人が多く、喫煙率の高い日本人が長寿であることは
国際的に謎だと言われているが、入浴の文化が一つの要素として明らかになった
のではないか」と話している、と報じられています。調査は、北海道や愛知県など
の18自治体で要介護認定を受けていない65歳以上の男女計約1万4千人を
対象に実施し、約3年間の追跡調査で調べたものです。言われていることは、
そうかと思いますが、母がお世話になっているケアの行き届いた介護施設でも、
叔母が昨年入居した老人ホームでも、入浴は週2回です。在宅でケアを受けて
いる人の入浴介助も、それ位かと思います。介護予防をして自分で入浴できる
健康寿命を延ばすということになるのでしょうか。また、以前から指摘されている
ことではありますが、高齢者向け住宅事業を運営するオリックス・リビングが、40
代以上の男女約1200人を対象にインターネットで調査したところ、夫は伴侶を
介護したいが、妻はそうでもない、という結果が出た、ということも報じられて
います。妻の介護をしたい男性は53.4%と半数以上でしたが、夫を介護したい
女性は30.9%と大きな差があることが、わかりました。これは、男性が介護の
実態を知らない、ということもあるのでは、ないでしょうか。また、ロボットによる
身体介護を受けたいという人が84.3%に上った、とのこと。ロボットには気を
使わないからが、最多の理由でした。介護人材の確保が困難になっている中、
政府は、2019~23年度の介護人材の確保計画をまとめています。それによる
と、来年4月からの新たな在留資格に基づく最大6万人の外国人労働者に加え、
国内で20万人強の担い手確保を目指すことが柱です。しかし、介護人材の確保
には、保育人材と同様、他の職種より月10~11万円安い賃金という処遇の改善
が欠かせません。そのためにも、消費増税をバラまかずに、本来の社会保障の質
の改善に使ってもらいたいと思います。