今年6月に、G20の環境相会議が、軽井沢で開かれます。その重要なテーマが、
ㇷ゚ラごみの削減です。安さと便利さから大量に使われているプラスチックが、海を
脅かしています。プラスチックごみが紫外線などで劣化して細かく砕けた、主に
5ミリ以下の粒「マイクロプラスチック」が、海の生態系に影響を及ぼすと心配
されています。日本近海は、マイクロプラスチックのホットスポットで、国外から流れ
着くのに加えて、マイクロプラスチックは、私たちの生活からも発生しています。
日本近海のマイクロプラスチックの平均の密度は1立法メートルあたり3.74個
で、世界平均の約27倍だということです。荒川、利根川、最上川、川内川など全国
の29河川を2015年から調べたところ、平均密度は3.23個で、日本近海とほぼ
同じでした。マイクロプラスチックの海洋汚染がクローズアップされ、企業などが
プラスチック製ストローの使用を中止したり、身近な使い捨てプラスチックを減ら
そうという取り組みが進んでいます。容器包装リサイクル法、ごみの減量化、製品
の改良、ごみの分別など、国や自治体、企業、市民は、それなりの努力をして
きましたが、自主性に頼った対策では、解決策を見つけることができません
でした。地球温暖化については、国際ルール「パリ協定」で、今世紀後半の実質
排出量が示されたように、プラスチックについても、高い目標と強い政策が必要、
といわれています。そうした中、昨年11月に、中央環境審議会が、プラスチック
ごみ削減対策についての小委員会で、小売店などへのレジ袋有料化の義務付け
と、ペットボトルや食品容器などの使い捨てプラスチック排出量の2030年までの
25%削減を盛り込んだ環境省の「プラスチック資源循環戦略」案を了承しました。
排出削減の比較対象となる基準年は、産業界の異論などに配慮して明示しな
かった、と報じられています。そんな弱腰で、削減が実現するのか心配です。主な
内容は、○小売店などにレジ袋有料化を義務付け ○食品容器など使い捨て
プラスチックの排出量を2030年までに25%削減 ○植物などを原料とする
バイオ素材の国内利用量を2030年までに約200万トンへ拡大 ○発電や廃熱
活用も含めて、2035年までにプラスチックごみを100%有効利用 ○日本の
経験や技術で途上国のプラごみ対策を支援、というものです。会合では、ペット
ボトル削減の具体策が不十分、発電や廃熱活動は温暖化対策に逆行する、
という声もありましたが、最終的には了承された、とのこと。やはり、いつの時点と
比べて25%減らすかを示す「基準年」が必要で、実効性をもっと高めるべきだと
思います。日本の1人当たりのプラごみ排出量は、世界で2番目に多く、5割以上
が焼却され、再生利用は2割強にとどまる、ということです。ペットボトルの回収率
はまだ高い方ですが、それでも9割を切っていて、年25億本が行方不明になって
います。私たち、消費者の行動も鍵で、レジ袋や、食器、包装の提供を断り、プラ
製品の購入を控えるなど、できることをしていきたいと思います。