米軍普天間飛行場の移設工事で、政府は、昨日14日、沖縄県名護市辺野古の
沿岸部に土砂を投入し、新たな局面に入りました。沖縄では、建設反対の民意を
再三示して、玉城デニー知事も繰り返し対話を求めていますが、政府は、ただ
聞きおくだけで、建設工事を強行しました。反発する沖縄県と政府の対立は、
抜き差しならないものになっています。安倍政権は、4年前の知事選で辺野古
反対を掲げた翁長知事の当選後も、工事を進め、今年9月の知事選で玉城
デニー氏が過去最多得票で当選してからも、かえって加速させています。安倍
首相は、玉城氏と10月12日に会談し、知事選で辺野古移設反対の民意が
示された、と伝えられた5日後に、県の埋め立て承認撤回の効力停止の手続きを
開始し、11月1日には工事を再開しました。沖縄の民意が、これだけ明らかに
なっている中での、工事の強行は、民主主義とは何かを改めて問うていると思い
ます。政府のやり方は、8月に県が、軟弱な地盤を政府が2年間公表しなかった
こと、他の違法行為や取決め違反を理由に埋め立て承認を撤回すると、行政不服
審査法を使って2ヶ月後に効力を停止させました。本来は、行政によって国民の
権利が侵害された場合に備えて設けられた手続きなのに、県と政府の争いを、
政府の一員である身内の国土交通省に審査させ、効力を停止させるなどし、
行政法の学者などから批判や抗議の声があがっていました。土砂投入について
も、県が「使われる土砂が環境基準にかなうものか、国が約束した確認手続きが
とられていない」などと指摘しても、全く、聞く耳を持たなかった、と報じられて
います。安倍政権、そして安倍首相が、「沖縄の皆さんの心に寄り添う」「辺野古
が唯一の解決策」と繰り返していますが、寄り添うとは、と問い返したいと思い
ます。また、唯一の解決策なのかどうか、沖縄県は、安全保障環境の変化も
指摘しています。北朝鮮情勢の緩和や、日中対話の動きなどで、東アジアの
安全保障環境は好転しつつあり、20年以上前に決めた通りに、沖縄に新しい
基地を置く必要はないのではないか、という見方も考慮する必要があると思い
ます。沖縄に米軍基地が偏在していることについては、本土の私たちも真剣に
できることを考える必要があると思います。