秋篠宮さまは、昨日30日、53歳の誕生日を迎えられましたが、これに先立つ
記者会見で、天皇の代替わりに伴う重要祭祀「大嘗祭」について、「宗教色が強い
ものを国費で賄うことが適当かどうか」と指摘し、「できる範囲で身の丈に合った
儀式」にすることが、本来の姿、という持論を明らかにし、波紋を呼んでいます。
大嘗祭に国費を使うことは閣議了解済みで、天皇陛下は次期天皇の皇太子様と
相談して決めるように言われ、皇太子様も了解済み、という中で、いきなり記者
会見で持論を述べたことには違和感があります。また、宮内庁の山本長官などに
意見を伝えたが「話を聞く耳を持たなかった。残念」と批判されたことは、意思疎通
が図られていないとすれば問題ですが、これも公の記者会見で述べることは、
いかがかと思います。しかし、指摘事態はもっともなことだと考えます。前回の
大嘗祭には約22億5千万円かかっています。1990年に行われた前回の大嘗
祭では、位置付けをめぐって大議論となりました。国費支出や知事などの参列の
違憲性を問う訴訟が各地で起きた、ということです。1995年の大阪高裁判決は、
国費支出の差し止めを求める原告の請求は棄却しましたが、「憲法の政教分離
規定に違反するのではないかとの疑義は一概に否定できない」という判断も示し
ています。大嘗祭は、11月22日から23日未明にかけて行われ、天皇陛下が
伊勢神宮の方角に向かって座り、その年に収穫された米などを皇祖神などに
備えた後、自らも食べて国と国民の安寧と五穀豊穣に感謝し、祈るとされている
神道色の強いものです。通常の年の大嘗祭は、内定会計(天皇家の私費)で
支払われています。政府は、あくまで国費支出を行う方針を改めて表明するなど
火消しに追われていますが、政府・宮内庁の対応を批判する声が出ている、と
報じられています。それは、今回の代替わりいついて、今年2月の式典準備
委員会(委員長=菅官房長官)で、知事などの参列に対する合憲判断が確定した
最高裁判決を根拠に、憲法との整合性を改めて議論することなく、前例踏襲を
早々に決定したからです。大嘗祭への国費支出は慎重であるべき、という意見も
あり、秋篠宮さまの発言が、改めて問題提起をした、といえると思います。公の場
で、宮内庁長官などを非難するような発言は、どうかと思いますが、閣議で決定
した後とはいえ、してはならない「政治的」発言と受け止められかねない発言のもと
は、秋篠宮さまが政府・宮内庁の対応がまずいと思っているからでしょう。意思
疎通は、しっかり図ってもらわないととも思います。