香港で開催中のゲノム編集の国際会議で、昨日28日、ゲノム編集技術で

 

受精卵の遺伝子を改変し、HIV(エイズウイルス)にかかりにくい体質の双子を

 

誕生させたとする中国の研究者が研究内容を説明し、その意義を語りました。

 

中国の南方技術大学の賀建奎副教授で「ゲノム編集技術を受精卵に使い、健康

 

な双子を誕生させた」と報告しました。出席者からは、安全、倫理面からの批判と

 

ともに事実かどうかを含め、検証を求める声があがった、と報じられています。

 

HIVに感染した男性と、感染していないパートナーの女性の受精卵を対象にした、

 

とのこと。賀氏は、昨年、北京にあるエイズ患者の互助団体から紹介された50人

 

を対象に実験を実施し、受精卵で妊娠した例が他にも、もう1例ある、と明らかに

 

しました。このことについて、世界の科学者から厳しい批判が集まっていることは、

 

当然のことだと思います。賀氏の主張どおり子どもが生まれていた場合、安全性

 

や倫理的な問題、妥当性などについて十分な議論は行われていず、将来の

 

何世代にもわたって子孫に悪影響が出る恐れあがあります。倫理規定を無視した

 

「人体実験」です。父親がエイズに感染していても、母親が感染していなければ、

 

ゲノム編集をしなくても、エイズを防ぐ方法は他にあり、売名行為という見方も

 

あるようです。賀氏は、両親への説明など適切な手続きを経たと説明していて、

 

「この研究に誇りを持っている」としています。しかし、子が生まれた病院などは

 

明確になっていず、実際にゲノム編集が行われたかどうかは謎のまま、だという

 

ことです。ゲノム編集は、生物の遺伝子を思い通りに変えられる技術で、これが

 

人体で行われれば、望む容姿、望む能力を持った子どもを作れることになって

 

しまい、生命を操作することになります。欧米では、子の出産につながる研究を

 

禁止する法律がある国が多くなっています。日本では、生殖医療の法律が遅れて

 

いて、代理出産の法律を作ろうと努力しましたが、どこまで生殖医療を認めるか

 

の合意が得られず、作れませんでした。昨日28日、日本でも文部科学省と厚生

 

労働省の専門家会議が、生殖補助医療目的の基礎研究に限って容認し、人や

 

動物の子宮に戻すことを禁止する指針を決定した、とのこと。中国でも、子宮に

 

戻すことは禁止されていて、賀氏も罰せられると伝えられています。人体にどの

 

ような影響があるかはっきりせず、生まれた子どもや、その子孫に責任が持てない

 

ようなことは、決してすべきではないと思います。