先週9日に、会計検査院は、官庁や政府出資法人を調べた2017年度決算検査
報告を安倍首相に提出しました。税金の無駄遣いの指摘や、制度の改善を求め
たものは374件、総額1156億9880万円で、件数としては過去最低、総額も2番
目に少なかった、と報じられています。件数も総額も減っているのは、当然ながら
よいことではありますが、しっかりチェックの目を光らせる必要があることは、言う
までもありません。この報告の中には、10月に公表した2020年東京五輪・
パラリンピック関連の検査結果も含まれていて、国の支出額を直近の5年間で約
8011億円と算出しました。検査院は、複数の省庁にまたがる事業のチェックを
重視した、とのこと。五輪については、大会組織委員会が昨年12月に、経費総額
を約1兆3500億円、うち国の負担分を約1500億円としましたが、大きく上回って
います。組織委員会や東京都の負担分を合わせると総額3兆円に達する可能性
があり、会計検査院は精査を求めました。国会答弁で、書かれている答弁書さえ、
まともに読めない桜井五輪担当相で大丈夫なのか心配になります。また、学校
法人「森友学園」への国有地売却問題で、財務省の決済文書改ざんを受けて
始まった再検査は継続中、ということです。こちらも、しっかいやってもらいたいと
思います。防衛関連では、航空自衛隊千歳基地や横田基地周辺で、騒音対策の
緩衝地帯の管理が不十分で、近隣住民が菜園などに利用している実態が明らか
になりました。陸上自衛隊が、戦車や火器の修理費を算出する際に、計約3億
2千万円相当の部品を、まだ使える状態なのに、使用不能と判定していたことも
報告されています。農地を守るために堤防や護岸堤が整備された海岸318ヶ所
を調べたところ、青森、三重、香川、愛媛、佐賀の5県の21ヶ所では、農地だった
場所が農地ではなくなっていたり、荒れて耕作ができない状態になっていました。
国の重要文化財については、観光客などが出入りする建造物で耐震性に「疑義
あり」とされた423棟のうち373棟で耐震診断を受けていませんでした。また、
耐震診断で「性能不足」と判断されたのに、1年以上経過しても耐震補強されて
いない文化財が、軽井沢にある「旧三笠ホテル」など5棟ありました。こうした会計
検査院の検査報告は、日頃私たちが気付くことが難しい、税金の無駄遣いを指摘
してくれるので、しっかりやってほしいと思います。