日航の男性副操縦士の呼気から、イギリスの運輸関連法令の基準値を10倍も
超えるアルコールが検出され、イギリス警察当局に逮捕された事件は、安全への
信頼を揺るがす、由々しき問題だと思います。逮捕されたのは、実川克敏容疑者
(42)で、現地時間の10月28日出発のロンドン発羽田行きの便に搭乗する予定
でした。空港内で航空機まで移動するバスの運転手がアルコール臭に気づき、
逮捕につながった、と報じられています。イギリスの基準値は、1リットル当たり
0.09ミリグラムで、10倍の0.93ミリグラムを検出した、と報じられています。
副操縦士は、前日の27日午後6時から28日午前0時まで、ワイン2本とビール
5本を飲んだということです。乗客の命を預かるのに、責任感のなさは、言語道断
です。問題が深刻なのは、社内で、出発の約1時間40分前に、同乗予定の機長
2人とともに行った呼気検査では、異常なしと判断されていて、チェックが利かな
かったことです。なぜ不正にすり抜けることができたのか、過去にはなかった
のか、真剣に検証してもらいたいものです。日航では、5月には、客室乗務員が
国際線機内でビールを飲んでいたそうです。規則や、社内教育、意識改革を
見直す必要があると思います。また、事件の前日には、全日空グループでも、
沖縄県内の5便に乗務予定だった機長が、飲酒による体調不良で常務できな
かった、ということもあります。国土交通省は、国内の全航空会社に、飲酒対策を
月内に報告するよう求めました。石井国交相は、基準強化を図る考えを明らかに
しています。現在は、乗務開始の8時間以内の飲酒を禁じていますが、アルコール
検査の義務はなく、各社が自主的におこなっている、とのこと。政府に指示され
ないと各社で独自にできないのは、情けないことです。航空業界全体として、
自主的に、再発防止策を早急に徹底してもらいたいと思います。