政府は、昨日2日、外国人労働者受け入れ拡大のため、在留資格を新設する
入管難民法などの改正案を閣議決定し、衆院に提出しました。この臨時国会で
成立させ、来年4月1日施行を目指しています。人材不足を外国人労働で補おう
という考えは理解しますが、どれだけの人数を受け入れ、労働力ではなく「人」が
入ってくるのですから、外国人労働者の社会保障や暮らしの支援、意識の改革、
そして家族を呼び寄せる場合には子どもの教育など、課題はたくさんあるのに、
具体策の多くを法案には書かずに、国会での議論がいらない政省令で定める
というやり方には反対です。このところ、法案に書かずに成立させ、後は政府や
省庁の思いのままに、というケースが増えていて、懸念します。入管難民法などの
骨子は、○一定の技能が必要な業務に就く「特定技能1号」と、熟練技術が必要な
業務に就く「特定技能2号」の在留資格を新設。○1号は在留期限が通算5年で
家族帯同を認めないが、2号は期限の更新ができ、配偶者と子どもの帯同も
可能。○人材確保が困難な産業分野で外国人を受け入れ。人手不足が解消
された場合は、一時的に受け入れを停止。○新官庁「出入国在留管理庁」を
設置。長官の登録を受けた機関が、外国人を支援。というものです。受け入れ
対象は、農業など14業種から検討中で、総量規制は設けない方針、と報じられて
います。2号は、当面、建設業、航空業など5業種程度に絞る方針、とのこと。
国会の審議でも、「移民政策」ではないという政府の答弁に、違和感を覚えます。
与党内でも異論があり、生煮えのまま、働く人の人権が侵害されることがあっては
ならないと思います。問題の多い、技能実習生から転換する人もいる、ということ
ですが、問題点をそのままでよいわけがありません。人手不足が解消したら、受け
入れを停止、ということも含めて、外国人労働者が、日本で働くことに魅力を感じる
とは、思えません。受け入れる人数は、4万とか6万とかいわれていますが、慎重
に全体像を明らかにし、法案に書きこむべきだと思います。