2020年度の実施が迫る中、大学入試の共通テスト、特に英語の民間試験導入

 

に懸念の声が多くなっている、と報じられています。朝日新聞と河合塾の共同

 

調査に寄せられた入試担当者の声をみると、テストの具体的な動きが出てくるに

 

つれて、使いづらさや、看過できない問題が見えてきた、とのこと。昨年から今年

 

の間に、共通テストを利用する方針から利用しない、利用しない可能性が高いに

 

変わった大学が5大学、検討中に変わったのは126大学に上っています。昨年の

 

試行調査で難易度が高すぎたこと、記述式問題では、採点基準を厳密にしても、

 

採点者によって偏りが出る可能性があることなどが、あげられています。特に、

 

英語の民間試験を活用することについては、140大学が一転して「問題がある」

 

としています。多くの大学で、期待とのズレが出てきている、と専門家はみている

 

ということです。新しい共通テストで、公平さが確保できない、とされていることは、

 

大きな問題だと思います。東京大は、先月、受験生に民間試験の成績提出を

 

必ずしも求めない方針を決めました。一定水準の英語力があることを高校が

 

認め、調査書に記入すれば出願できる、とのこと。民間試験は使わないという判断

 

をしたことになります。現在のセンター試験を共通テストに移行する目的は、

 

「読む・聞く」に加えて、「話す・書く」力を評価することだそうです。文部科学省は、

 

TOEFL、英検など8種類を認定しています。しかし、目的や尺度が違う民間

 

試験の結果を公平に比較することができるのでしょうか。大都市でしか受験

 

できない試験の場合は、交通費に加えて、なかには2万円の受験料が必要な

 

試験もあるそうです。住む地域や家庭の経済状況によって、不公平になることが

 

心配されています。現場の大学の試験担当者が多くの懸念を持ったまま、共通

 

テストに、スケジュールありきで移行することは、避けてもらいたいものです。

 

人づくり、人材育成が、日本にとって大きな課題のひとつであることは、間違い

 

ないことですから、移行する前に、もっと公平さが確保され、多くの人が納得できる

 

制度に改めてほしいと思います。