第4次安倍改造内閣で、文科相に就任したばかりの柴山昌彦氏が、戦前の軍国
主義教育に影響した教育勅語の一部を評価する発言をして、批判を浴びて
います。教育勅語には、現代風にアレンジして道徳などに使える部分がある、
として、「同胞を大切にするとか国際的な協調を重んじるとか、基本的な記載内容
について現代的にアレンジをして教えていこうと検討する動きがあると聞いて
いる。そういったことは検討に値する」と語っています。政府は、教育勅語を学校
教材に使うことを否定しない見解を示していて、現場からは柴山氏の下で活用に
つながりかねないという懸念が広がっている、と報じられています。教育勅語は
「一旦緩急アレバ義勇公ニ奉ジ、以テ天壌無窮ノ皇運ヲ扶養スベシ。」と、戦争が
起きたら天皇と国のために命を捧げよという意味の一文が、勅語の教えの根幹を
なしています。親に孝行せよ、という徳目も書かれていますが、それは、何も教育
勅語によらなくても、様々な教え方ができるはずです。戦後、国民主権や人権
尊重に反する教育勅語は、新憲法と教育基本法が定められて、1948年に
衆院は勅語の排除を、参院は失効を決議しました。衆院の決議では、基本的人権
を損ない、憲法に反すると明確に位置付けている、ということです。それなのに、
右寄り?の安倍政権では、教育勅語を再評価する動きが強まっていて、強い危惧
の念を抱きます。2014年には、当時の下村博文文科相が「教材として使うことは
差し支えない」と述べて、文科省の見解を転換させました。また、政府は、昨年、
憲法や教育基本法に反しない形で教材として使うことは否定されないという
答弁書を閣議決定しています。安倍首相側近といわれる議員が文科相になると、
危うい発言があるように思え、安倍首相も、そう考えているのでは、と思わざるを
得ません。菅官房長官は「政府としては積極的に教育現場に活用しようという考え
はない」と火消しにまわっていますが、首相自身が、はっきり発言する必要がある
と思います。政府・与党は、昨日4日、臨時国会を24日に召集する方向で最終
調整に入ったそうです。多くの課題が山積していますが、この柴山発言や、責任を
とらずに再任された麻生財務相など、閣僚としての資質についても、しっかり追及
してもらいたいと思います。