「新潮45」の8月号で、自民党の杉田水脈衆院議員が、LGBT(レズビアン、

 

ゲイ、バイセクシャル、トランスジャンダー)を「子どもを作らない、つまり「生産性」

 

がない」と表現したことが、大きな波紋を広げています。私も、人を生産性でみる

 

ことは間違っているし、人権について考えていないと批判しました。これについて、

 

「新潮45」が10月号で、改めて「そんなにおかしいか「杉田水脈」論文」と題して、

 

新しい歴史教科書をつくる会副会長の藤岡氏など7人が寄稿し。更に批判を

 

よんでいます。その中で、文芸評論家の小川栄太郎氏は、同性愛を「全くの性的

 

嗜好でないか」とした上で、LGBTの権利を擁護するなら「痴漢」が「触る権利を

 

社会は保障すべきでないのか」などと主張を展開している、と報じられています。

 

驚くべき無知と悪意に満ちているとしか言いようがありません。こうした暴論と、

 

それを掲載した「新潮45」への異論が噴出しているのは、当然のことだと思い

 

ます。新潮社から本を出している作家なども反発し、新潮社の社内からも異議が、

 

次々にりツイートされている、ということです。「新潮社文芸」のアカウントで、

 

文芸の編集者を中心に複数の社員で共有していて、「どうして低劣な差別に

 

加担するのか」「ヘイト論文掲載について開き直り正当化」といった批判的な

 

つぶやきで、りツイートされ、「良心に背く出版は、殺されてもせぬ事」という創業者

 

である佐藤義亮のことばも投稿されました。多くの作家から、これに賛同する投稿

 

も相次ぎました。こうした動きを受けて、新潮社の佐藤隆信社長が、21日、

 

「ある部分に関しては、あまりに常識を逸脱した偏見と認識不足に満ちた表現が

 

見受けられました」という見解を公表しました。「弊社は今後とも、差別的な表現

 

には十分に配慮する所存です」と結んでいる、とのこと。「新潮45」は、45歳以上

 

の中高年層向け雑誌として1982年に創刊され、月当たりの平均で、現在は1万

 

6800部と、ここ数年で1万部位部数を減らしていて、右側の読者を取り込もうと

 

したのでは、という見方もされていますが、出版社としての常識を疑われるような

 

記事で部数を増やすなど、もってのほかだと思います。杉田議員については、

 

自民党内の対応が鈍すぎると言われています。当初は、人それぞれの人生観が

 

ある、などとやりすごそうとしました。大規模な抗議集会が全国で開かれても、

 

自民党は、ホームページで杉田氏に注意するよう指導したことを明らかにした

 

だけで、処分はしませんでした。自民党では、伝統的な家族観が重んじられて

 

いますが、「性的多様性の需要」を選挙公約にも掲げているのに、この対応で

 

納得されると考えているのでしょうか。LGBTの権利保護は、世界の潮流で、

 

日本でも、東京都渋谷区と世田谷区が2015年から、同性パートナーシップを

 

認める制度を導入しています。同様の制度は、那覇市、福岡市など少なくとも

 

9市区にあります。札幌市では、2017年に、パートナーシップ宣誓制度を作り

 

ました。自治体から、同性カップルなど性的少数者の権利擁護が進んできていて、

 

長野県内でも、松本市、伊那市などの議会で、性的招集者(LGBT)の人権保護

 

や相談体制の充実などを求める請願が、相次いで採択されています。LGBTは、

 

生まれつきの個性で、自分の意思では変えられません。これを理由に差別する

 

ことは許されず、人権が守られる取り組みが自治体から進むことは、歓迎したいと

 

思います。政権与党も、また超党派でも人権を守る法律を議員立法で作ってきて

 

いますので各党とも、しっかりした取り組みを望みます。