敬老の日の前後には、超高齢社会ということもあり、介護についての報道があり
ました。介護職員などの労働組合「日本介護クラフトユニオン」の調査で、月給制
で働く介護職員の14%が、介護の仕事を辞めたいと思っている、ということです。
2年前の前回調査から、1.5倍近く増えました。調査は、月給制と時給制で働く
組合員計4302人を対象に、今年3~4月に実施し、2994人(69.6%)が
回答しました。「この仕事を続けたいか」という問いに、「介護業界以外の仕事を
したい」が、月給制で14.3%で、前回調査の9.7%から上昇しました。時給制
でも10.1%で、前回の6.9%を上回りました。「今の会社で続けたいと思わない
理由」を複数回答で尋ねたところ、「賃金が低い」という答えが、月給制で
56.5%、時給制で51%と最多でした。「有給休暇は取得できているか」との問い
には、「まったく取得できない」が10.5%、「なかなな取得できない」が29.6%
と、報じられています。ずっと言われていることですが、介護職員の待遇改善が
喫緊の課題ということが、よくわかります。厚生労働省が、2025年度の必要に
なる介護職員数をどれだけ充たせるかの「充足率」をまとめたところ、十分に
職員を確保できる都道府県はない、ということがわかっています。全国平均は
86.2%で、8割を切った府県もある、ということです。2025年度には、私も
含めて、団塊の世代が75歳以上になり、高齢者は増え続けるので、介護の需要
は、もっと高まってきます。全国の介護職員数は、2016年度時点で190万人
です。2025年(7年後)には、245万人が必要ですが、対策を講じなければ
33万7千人が不足します。現在も、職員が足りず、倒産する介護事業所が
相次いでいる、ということです。介護職員の平均給与は月26万円余りで、
全産業平均より10万円以上低くなっています。また、74%が、利用者や家族から
セクハラ、パワハラを受けたという調査結果もあります。負担が重く、離職率が
高くなっています。そうした中で、安倍政権は、骨太方針に、外国人労働者の
受け入れ拡大を盛り込んでいて、特に介護分野での登用に力を入れる、として
います。こうしたことにともなって、介護福祉士を養成する専門学校や大学に、
今年4月に入学した外国人留学生が1142人と、前年から倍増した、という
ニュースもあります。ベトナム人が最も多く、中国、ネパール、インドネシア、
フィリピンと続いています。介護福祉士は、介護される人とのコミュニケーションが
大事ですが、人手不足の中で、外国人の登用は考えなければならない課題だと
思います。外国人が入ることで、さらに低い給与に抑えられるなど、マイナスの
影響がでないよう注視していく必要があります。とにかく、介護職員の待遇を
よくするために、誰がどのように負担するのか、税と社会保険料の割合も含めて
真剣に検討して、情報を公開してもらいたいと思います。