実質的には、日本の首相を選ぶことになる自民党総裁選は、立候補の届け出を

 

して、10日に記者会見をしただけで、すぐに安倍首相がロシア訪問で海外という

 

ことで、肩透かしのようになっていました。帰国後、ようやく昨日、日本記者クラブ

 

主催の討論会が開かれました。石破氏の挑発に安倍氏が反撃して対決ムードと

 

報じている新聞がある一方で、石破氏が応援してくれる議員からの個人攻撃は

 

やめてほしいという声を意識して本音を封印しているという見方もあり、どちらも

 

具体策がないと切り捨てている論調もあります。少なくとも、直接討論をすれば、

 

自ずと違いは見えてくると思います。昨日の討論会で明らかになった点は、

 

憲法改正について、安倍氏は「戦後70年、一度も行えなかった憲法改正に

 

挑戦し、新しい時代を切り開く」とし、石破氏は「国民に誠実な説明なくして憲法を

 

改正してはいけない」としています。昨日の討論会では、石破氏からの問いだけ

 

でなく、日本記者クラブ所属のジャーナリストからも、森友・加計問題での政治

 

姿勢に多くに時間が割かれた、と報じられています。石破氏が「不都合な情報も

 

伝えなければいけない。野党も国民の代表だ。後ろには国民がいる。」としたのに

 

対して、安倍氏は「行政に対する信頼を揺るがす事態になったのは私の責任だ。

 

私の指示や妻の関与は一切出ていない」と国会答弁と同じことを繰り返しました。

 

石破氏が国会対応を含めて安倍氏の不誠実な姿勢を問うたのに、安倍氏は

 

公文書管理の在り方に論点をすり替えて回答し、逃げの答弁だと、呆れた声が

 

聞かれた、とも伝えられています。後半の日本記者クラブ側との質疑では、森友・

 

加計問題に切り込まれ、いらだちも見せていたそうです。安倍氏が、前回の

 

総選挙で禊はすんでいる、という意味のことを言ったことは、森友・加計問題への

 

安倍首相の説明には「納得していない」人が76%もいる、といった世論調査で

 

明らかになっている国民の意識とは、大きなかい離があります。地方創生・

 

アベノミクスについては、石破氏が「地方の有効求人倍率が上がったというのは

 

人手不足を意味する」としたのに対して、安倍氏は「問題点を指摘するよりも、

 

具体的な政策を進めることが大切だ」と。総裁選のあり方については、石破氏が

 

「災害があったが、首相選びなのだから期間を変えればいい。国民から逃げては

 

いけない。」としたのに対して、安倍氏は「国連総会に行って日米首脳会談もある。

 

期間を延ばすのは簡単ではない。」としました。文章にすると淡々としているよう

 

ですが、ニュースで見ると、安倍氏は「現職は、そうはいかないのですよ。」と

 

かなり不遜な対応だったように思います。安倍氏が、年金の受給開始年齢に

 

ついて70歳を超える選択もできる制度改正を検討し、「3年で断行したい」と

 

述べたことを、見出しにとっている報道もありました。これは「人生100年時代の

 

社会保障」として、小泉進次郎氏が中心に取りまとめたものではないかと思い

 

ます。石破氏も、せっかく立候補しているのですから、当初からいっていた「正直、

 

公正」を具体化した政策も語ってほしいと思います。投票までの時間は限られて

 

いますが、是非、活発な、建設的な論戦をしてもらいたいと思います。