政府は、昨日28日、中央省庁が雇用する障害者数を水増ししていた問題を
巡って、国の33の行政機関のうち約8割の27機関で、不適切な障害者数の
算入があったという、調査結果を発表しました。昨年、雇用したとしていた約
6900人のうち、国のガイドラインに反し不正に算入していた分が3460人に
上り、平均雇用率は、従来の2.49%から法定雇用率を大幅に下回る1.19%に
半減しました。本人の同意のないまま、独自の判断で障害者と認定している
ケースもあった、ということです。政府は、昨日、関係閣僚会議を首相官邸で開催
し、再発防止の緊急対策を10月に取りまとめると決め、国家公務員の採用に
障害者枠を新たに設ける検討に入った、と報じられています。当初は、関係閣僚
会議を開催するほどの問題ととらえていなかったようですが、これだけ大きく
広がり、火消しに躍起になったいるようです。議長は、菅官房長官ですが、問題の
大きさからすると、安倍総理が議長のほうがよかったのでは、と思います。
水増しをしていなかった国の機関を数えるほうが早く、厚生労働省、警察庁、金融
庁、原子力規制委員会、個人情報保護委員会、海上保安庁だけが、きちんと
やっていた、という呆れる現状です。例えば、国税庁では、職員本人が申告した
病名のみにもとづいて障害者と判断。総務省では、法定雇用率の対象者である
ことを本人に知らせず算入。経済産業省では、歴代人事担当者が「障害者手帳
などを確認しなくてもいい」と引き継ぐ。また、本来は「0.5人」と数えるべき短時間
勤務の職員を「1人」とカウントした。などが報じられています。そもそも、民間の
手本となるべき国の機関が、単に数合わせで水増ししていたということだと、
障害者も含めて、すべての人を包摂する社会を目指す国際的方向性に反する
ことはもちろん、安倍政権の「一億総活躍」とは、何だったのかと思わざるを得ま
せん。民間は厳しくチェックして、法定雇用率に達しない場合、障害者1人分に
ついて月5万円の罰金を取り、会社名を公表することもある、ということと、身内の
国の機関には、チェックも罰金もないということは、納得できません。第三者による
検証チームに原因究明を委ねるということですが、基本に立ち返って、なぜ障害者
雇用を行う必要があるのか、から学び直す必要があると思います。また、急いで
法定雇用率を達成するようにする、ということも当然ですが、受け入れる環境を
意識の面からも、しっかり整えないと、働く障害者が、いずらくて辞めてしまうという
ことにも、なりかねません。真摯に向き合っていくかどうか、しっかり見ていきたいと
思います。