終戦から73年、平成最後の終戦の日の昨日15日、政府主催の全国戦没者

 

追悼式が、東京の日本武道館で開かれました。ご自身としては最後の全国

 

戦没者追悼式で、天皇陛下は、「戦後の長きにわたる平和な歳月に思いを致し

 

つつ」という一節を新たに加え、戦争犠牲者を悼まれました。戦後生まれが大半

 

を占める平成の終わりに、平和の尊さと戦争の記憶を継承する大切さを伝える

 

メッセージと受け止められています。天皇陛下は、即位以来30年間、追悼式の

 

お言葉を、自ら鉛筆を握り、深夜まで推敲を重ねられてきた、ということです。

 

戦後50年の1995年には「歴史を顧み、戦争の惨禍が再び繰り返されぬこと

 

を切に願い」と。また、戦後70年の2015年には「さきの大戦に対する深い反省と

 

心からのおわび」を盛り込まれています。戦後70年の節目に、初めて「深い反省」

 

の文言を入れられ、それから4年連続「深い反省」という言葉で、強い思いを

 

示されてきました。毎年、私たちに耳を傾けさせる、天皇陛下の戦争への反省と

 

平和への強い思いがこもったお言葉だと思います。これに対して、安倍首相は、

 

第2次安倍政権発足後の2013年から6年連続、アジア諸国への加害責任に

 

ついて言及していません。1993年の細川元首相以降、歴代首相は加害責任に

 

ついて触れ、「深い反省」「哀悼の意」などを表明してきていました。歴代首相が

 

繰り返し述べてきた「不戦の誓い」という表現も2013年になくしています。政府

 

主催の追悼式で、首相が「加害責任と反省」に触れない事は、世界に、日本が

 

歴史を書き換えようとしていると受け止められ、誤解を広げる心配があると、

 

指摘されています。私も、常々、心配しています。11歳で敗戦を経験された

 

天皇陛下は、慰霊や平和への祈りに心を砕かれ、広島の原爆の日、長崎の

 

原爆の日、終戦の日、沖縄慰霊の日を、「忘れてはならない4つの日」と公言

 

されてきました。戦後70年にはパラオを、翌年にはフィリピンを、と激戦地を

 

高齢になられてからも訪れてこられました。天皇陛下の思いは、来年からは、

 

戦後生まれの皇太子様に受け継がれることになります。追悼式には、5236人の

 

遺族が参列しました。平成元年には参列予定者のうち、戦没者の妻が48%を

 

占めましたが、今回は13人、0.2%になりました。戦争を知らない世代が大半に

 

なる中、どのように戦争の反省と平和への思いを受け継いでいくのか、私たちも

 

心して考えなければと思います。