厚生労働省は、厚生年金や企業向け健康保険(健保組合、協会けんぽ)に加入

 

できるパート従業員などの対象を拡大するため、適用要件うち「501人以上」と

 

定めている勤務先従業員数を引き下げる調整に入った、と報じられています。9月

 

にも有識者や事業者による検討会を設置し、早ければ2020年度に制度改正

 

する、ということです。ちょうど民主党政権で私が厚生労働大臣をしていた時に、

 

女性が能力をいかして働くためには、税制の配偶者控除の廃止、第三号被保険

 

者の廃止、厚生年金や企業の健康保険すなわち社会保険)の適用範囲をパート

 

など非正規の人に拡大することの3つを実現しないと、と議論を進めていました。

 

社会保障改革の中で、パートなど非正規への拡大を、約400万人の対象のうち、

 

せめて4分の1の100万人位から実現したいと奔走しましたが、経営者などの

 

反対で、結局25万人からスタートすることになりました。その後、2016年10月

 

には、週30時間以上働く人に加え、○労働時間20時間以上 ○月額賃金

 

8万8000円以上(年収約106万円以上) ○勤務先の従業員数501人以上など

 

の要件を満たす人も加入対象になりました。2017年度からは、労使の合意を

 

条件に、従業員数500人以下の企業にも適用を広げました。6月に決定した

 

経済財政運営の基本方針「骨太の方針」では、短時間労働者に対するさらなる

 

厚生年金などの適用に向けて、「勤労者皆保険制度の実現を目指して検討を

 

行う」という方針が明記されました。厚生年金と企業向け健康保険の適用拡大

 

は、事業者の保険料支出の増加につながるため、また中小企業などから反対の

 

声が上がる可能性が指摘されています。しかし、超少子高齢社会のトップランナー

 

の日本では、生産年齢人口(20~64歳)が毎年1%ずつ減っているのですから、

 

女性が働き続けられる制度の整備が喫緊の課題です。働く女性のうち、半数以上

 

がパートなどの非正規労働者なのですから。政府が「女性の活躍」を掲げながら、

 

実質的には、女性が働き続けられる環境整備が進んでいないので、是非、進めて

 

ほしいと思います。