昨日9日、長崎は被爆から73年を迎え、長崎市の平和公園で、原爆犠牲者慰霊

 

平和祈念式典が開かれました。原爆投下時刻の11時2分に、参列者が黙とう

 

しました。田上長崎市長は、平和宣言で「核に頼らぬ安全保障政策に転換を」

 

「核兵器と人類は共存できない。苦しみは私たちだけでたくさんだ。」と述べ

 

ました。安倍首相はあいさつで、6日の広島原爆の日と同様、保有国と非保有国

 

の橋渡しが必要だと強調し、その後の記者会見で、核兵器禁止条約は「安全保障

 

の現実を踏まえていない」と批判し、不参加の考えを改めて示しました。現職として

 

初めて参列したグテレス国連事務総長は「核廃絶は国連の最優先課題。長崎から

 

全ての国に、目に見える進展を求める。保有国には特別な責任があある」と表明

 

しました。安倍首相は、田上市長や被爆者代表の、1年前に国連で採択された

 

核兵器禁止条約に賛同するように、という要求を否定しました。式典でのあいさつ

 

では、広島と同様、核兵器禁止条約には、触れもしませんでした。被爆者代表から

 

は、「被爆地に来て、条約に触れないというのは、私たちを無視しているのかと

 

思う」「米国の方ばかり向いている。これで核兵器を禁止しようとする国がどこに

 

あるのか。言っていることとやっていることが違う」などと批判の声があたった、と

 

報じられています。田上市長は、条約採択と核兵器廃絶国産キャンペーン(ICAN)

 

のノーベル平和賞受賞を「地球上の多くの人々が核兵器のない世界の実現を

 

求め続けている証し」とし、政府には、唯一の戦争被爆国として世界を導く道義的

 

責任を果たすよう訴えました。同感する方が、多いと思います。安倍首相をはじめ

 

とする政府は、保有国と非保有国の橋渡しに努めるとしていますが、どのように

 

していくのか具体策は、全く示されていません。米国寄りといわれるのは、トランプ

 

政権が「使える核」とされる小型核の開発などの新核戦略を公表した際、日本は

 

「高く評価する」という河野外相の談話を、いち早く発表していて、核兵器廃絶に

 

向けた姿勢は、見られないことからも、わかります。被爆した人たちの平均年齢は

 

82歳を超えている、ということ。安倍首相には、被爆地の訴えに誠意をもって耳を

 

傾け、核廃絶に向けて国際社会を主導することを、ことばだけでなく、実際の役割

 

を果たす行動で示してもらいたいものです。