米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設阻止を掲げて、反対
運動の象徴的存在だった、翁長雄志知事が、昨日8日、膵がんのため死去
しました。67歳でした。早すぎる急逝で、まだまだ活躍してほしかったですし、
ご本人も無念だったと思います。翁長氏は、普天間飛行場の辺野古移設を
巡って、7月に埋め立て承認を撤回する方針を表明していて、9日に県が沖縄
防衛局から弁明を聞く聴聞が開かれる予定でした。職務代理をする副知事は、
「原則として長の職務権限の全てに及ぶ」としていて、知事不在でも手続きを
勧める考えを示していますが、知事の死去が移転問題に大きく影響することは
間違いないようです。翁長氏は、自民党県連幹事長や那覇市長を歴任した
県政界の重鎮でしたが、辺野古反対の旗を立てて、2014年11月の知事選に
立候補し、保守・革新を超えて幅広い指示を集める「オール沖縄」を誕生させ
ました。歯に衣着せずに、本土の政権に対して、沖縄の声を発している姿には
心打たれました。しかし、最高裁が2016年12月に、埋め立て承認の取り消しを
違法と判断し、手詰まり感がありました。今年2018年4月に膵臓に腫瘍が
見つかり、記者会見で手術を公表しました。抗がん剤治療を受けながら、重要な
任務をこなしていましたが、どんどん痩せていく姿に心配していました。政界でも
与野党から悼む声が寄せられています。保革を束ねて、「辺野古埋め立ては壮大
な愚行」として、様々な政治信条の人達を糾合した稀有なリーダーだった、と報じ
られています。秋の知事選への立候補は明言していませんでしたが、「翁長氏の
代わりは翁長氏しかいない」として、2期目にも期待していた人たちには、急逝に
悲しみと動揺が広がっている、ということです。翁長氏の死去に伴って、11月18
日投開票の県知事選は、前倒しされることになります。死亡から5日以内に職務
代理者が選挙管理委員会に通知して、そこから50日以内に選挙を実施する、と
公職選挙法に定められていて、9月にも知事選が実施されるとみられています。
翁長氏と対立す自民県連は、宜野湾市長の佐喜真氏(54)の擁立をすでに
決めています。共産、社民などの県政与党の国会議員や県議などが、翁長氏
再選を目指すと確認しあっていたということで、後継の目途は立っていません。
辺野古反対の遺志を継ぐ候補が出れば、弔い合戦になるという見方もされて
います。「理不尽」と闘い続けた翁長氏のご冥福を、心からお祈りします。
です。