受動喫煙対策を強化する健康増進法改正案が、昨日12日、参院厚生労働委員

 

会で、与党などの賛成多数で可決されました。この後、参院本会議で可決される

 

見込みなので、今の国会で成立することになります。東京五輪・パラリンピックの

 

前の2020年4月施行予定ですが、再三お伝えしているように、世界の水準から

 

すると、かなり甘い規制で、最近は五輪・パラリンピックが各国で、煙のない環境で

 

行われてきたのに、日本開催で、その前例を破ることになってしまいます。焦点

 

だった飲食店は、当初案より後退し、例外的に経過措置を認めています。客席

 

面積100平方メートル以下で、個人経営か資本金5千万円以下の中小企業が

 

経営する既存店では、「喫煙」「分煙」などの表示をすれば喫煙を認めます。厚生

 

労働省の試算では、最大55%が当てはまる、ということで、半数近くが、たばこの

 

煙のある店になってしまいます。この他、学校や病院、行政機関などは、最も

 

厳しい敷地内禁煙になり、屋外の決められた喫煙場所以外では吸えなくなります。

 

これは、よいことだと思います。審議の中で、加藤厚労相が、ランチタイムなど特定

 

の時間だけを禁煙とする「時間分煙」を認めない方針を示したのは、当然のこと

 

ながら、飲食業界の要望を否定した形で、よかったです。質疑の中では、野党だけ

 

でなく、与党からも「不満」の声が上がっていました。医師・歯科医師などは、禁煙

 

を求めていることもあり、歯科医師の石井みどり議員(自民党)から、「本法案の

 

内容は、医療人の立場からすると反対というのが偽らざる気持ち。一方で、この

 

内容すら法制化できないのはもっと反対だ」と述べています。また、加熱式たばこ

 

の規制が、緩やかなことについて、全国がん患者団体連合会の天野理事長は、

 

世界の加熱式たばこの販売量の大半を日本が占めていることをあげ、「健康被害

 

が実際に出始めてからでは遅い」と指摘しています。また、信濃毎日新聞加盟の

 

日本世論調査会の全国面接調査でも、56%の人が、「もっと厳しい規制が必要」

 

と考えていることが、わかっています。たばこを吸う人で「対策を進めるべきだ」と

 

回答した人は53%でしたが、吸わない人では91%に上り、喫煙の有無で賛否に

 

違いがあります。でも、別の調査では、喫煙者の8割が、禁煙したいとしている、

 

というものもあり、禁煙への支援も必要かと思います。国の受動喫煙防止の法案

 

が後退したのに対して、五輪・パラリンピック開催都市の東京都では、6月27日

 

に、国よりは厳しい受動喫煙防止条例が成立しています。従業員を雇っている

 

飲食店内を原則禁煙とし、違反者への罰則(5万円以下の過料)も設けています。

 

この条例では、東京都の飲食店の84%が禁煙になります。東京都以外にも、

 

大阪府が店舗面積30平方メートル以下のスナックやバーを除く飲食店を原則

 

禁煙とする条例の制定を検討するなど、国の法案より厳しい対策を考える自治体

 

が出てきていることは、歓迎です。見直しの時には、もっと厳しい内容に、国の

 

法律をしてほしいですが、受動喫煙防止の法律ができることによって、各方面に

 

よい影響が出ればとも思います。私が住んでいる長野県では、学校敷地内を全面

 

禁煙にしている割合が、全国最低の40.1%にとどまったことを受けて、県教育

 

委員会は、来年度から県立学校全98校を敷地内禁煙とする方針を明らかに

 

しました。人のたばこによって命を縮めるなどの被害を防ぎ、現在の受動喫煙に

 

よる死亡が年間1万5千人という数字を下げていくように、この法律成立を機会

 

に、各自治体などでも取り組みそ進めてほしいと思います。