今日は、原発をめぐる最近の動きについて考えたいと思います。ひとつは、東海

 

第二原発の再稼働は認めてよいのか、ということ。原子力規制委員会は、昨日

 

4日、首都圏にある唯一の商用炉である日本原子力発電東海第二原発に

 

ついて、安全対策の基本方針が新規制基準を満たす、と認めました。ただ、

 

再稼働するには、今年11月末が40年の運転期限になるため、11月までに運転

 

延長の認可を受けたうえで、県や周辺6市村の事前了解(同意)を得なければ

 

ならず、実現の見通しは不透明、と報じられています。運転期間を原則40年と

 

する規制が、福島第一原発の事故後に民主党政権によって導入されたのに、

 

安倍政権はそれを無視して、極めて限定的だったはずの老朽原発の運転延長を

 

当たり前のように認めています。それでよいとは思えません。また、東海第二の

 

30キロ圏には、全国の原発で最多の96万人が暮らしていますが、自治体の

 

避難計画は難航していて、見切り発車できる状態では、ありません。そして、今年

 

春に、再稼働に対する実質的な事前了解権を新たに水戸市など周辺5市に

 

与える安全協定が結ばれ、全国から注目されていますが、地元同意は容易では

 

ないと見られています。こうした点からも、東海第二の再稼働は無理だと考え

 

ます。もうひとつ、昨日4日、関西電力大飯原発3,4号機(福井県)の運転

 

差し止めを周辺住民などが求めた訴訟の控訴審判決で、名古屋高裁金沢支部

 

は、差し止めを認めた一審の福井地裁判決を取り消し、住民側の請求を棄却

 

しました。「2基の危険性は社会通念無視し得る程度にまで管理・統制されている」

 

とし、周辺住民などの人格権を侵害する具体的危険性はない、と判断しました。

 

「具体的な危険性が万が一でもあるのか」を検討して運転を差し止めた福井地裁

 

の判決とは、対象的です。

 

このように安全性が定かでない原発の再稼働に悩まされるのも、国、政府の

 

エネルギー政策が、きちんと道筋を描いていないからだと思います。政府は、

 

3日、エネルギー政策の中長期的な方向性を決める「第5次エネルギー基本計画」

 

を閣議決定しました。2030年度の電源構成に占める原発の比率を「20~22%」

 

にするという政府目標を新たに盛り込むなど、原発推進の姿勢を維持しています。

 

この数値にするには、新増設が必要ですが、世論の反対を意識して議論を避けて

 

本音を封印したとみられ、無責任と指摘されています。一方、再生可能エネルギー

 

は「主力電源化」を目指す方針を初めて打ち出しましたが、電源構成に占める

 

比率は「22~24%」と引き上げず現状のままとしています。諸外国では、再生

 

エネルギーの普及を数値目標を設定して図っている国があり、ドイツは30年時点

 

で65%、フランスは40%を掲げています。日本が高い目標値を掲げないことで、

 

本気度が疑われます。あれだけの被害を出し、避難している人もまだ多くいる福島

 

第一原発事故の教訓をいかすなら、方向性は明らかになるはずだと思います。