政府・与党が、今の国会最大のテーマとしてきた、働き方改革法案が、今日29日

 

の参議院本会議で、自民・公明、日本維新の会などの賛成多数で可決され、成立

 

しました。これで、審議の中で最も焦点となった、高度プロフェッショナル制度は、

 

来年4月から導入されることになりました。本会議での賛成・反対の討論の中で、

 

自民党は、今回の法案で、柔軟に働くことができ、能力を最大限に発揮できる働き

 

方を実現できれば、日本の経済はさらに力強く成長する、と述べています。これに

 

対して、参院野党第一党の国民民主党は、高度プロフェッショナル制度の創設

 

は、長時間労働や過労死の懸念が極めて大きく、労働者保護の観点から絶対に

 

導入してはならない、と述べました。何回も指摘しているように、この働き方改革

 

法案は、労働者を保護するものと規制を緩和するものの8本の法律改正案を束ね

 

たものです。、別々に審議すべきものだと思います。規制緩和が、問題の高度プロ

 

フェッショナル制度で、年収1075万円以上の一部の専門職を、労働時間規制

 

から外すものです。働きすぎを防ぐ健康確保措置については、「4週間で4日以上」

 

の休日確保の義務化が盛り込まれていますが、実効性に疑問が残ったままです。

 

8週間で最初と最後の4日を休めば、残る日は24時間働いても違法にならない

 

ため、理論上は48日間の連続勤務が可能だ、と指摘されています。また、どこに

 

ニーズがあるのかという点について、厚生労働省がヒアリングをしたのは、対象は

 

コンサルタントなどわずか12人で、制度設計前に実施したのは1人だけ、という

 

ことです。対象も曖昧なままで、法律成立後、職種や収入要件は省令で決めると

 

されていて、導入前から拡大の懸念があります。長時間労働の歯止めがなくなる

 

ため、究極の過労死促進法案だとして、過労死を考える家族の会の方たちなど

 

が、強く反対している中での採決でした。また、規制強化の中でも、残業時間の

 

罰則付き上限規制については、残業時間は「繁忙月でも月100時間未満」などの

 

上限を設け、違反した企業に罰則が科されます。この100時間未満という数字

 

は、過労死ラインで、ここまで認めることの是非が議論されましたが、改善され

 

ませんでした。同一労働同一賃金の促進については、真の意味で実現すれば、

 

非正規と正規の賃金格差、男女の賃金格差の是正にもつながりますが、安倍

 

首相の鳴り物入りにもかかわらず、実効性は担保されていないと考えます。

 

超少子高齢社会で、世界のトップランナーの日本では、就労人口が毎年1%ずつ

 

減り続けています。そうした中で、労働者を守らないで、企業の働かせ方にばかり

 

配慮する政策は、これからの日本をつぶしてしまうと思います。