東京電力ホールディングスの小早川社長は、昨日14日、福島県庁で内堀知事
に、福島第二原発(富岡町、現在停止中)の、4基全部の廃炉を検討すると
伝えました。理由として「(方針が)あいまいでは復興の足かせになる」と説明
した、と報じられています。正式に決定すれば、第一原発を合わせて、福島県内
の10基の原発が、すべて廃炉になります。しかし、廃炉が実現するまでには、
多額の費用や、技術を持った作業員の確保、放射性廃棄物の処分など、多くの
課題があります。東日本大震災から7年も経った今、なぜ表明したかについては、
思惑があるといわれています。東日本大震災の後、第一原発であれだけの事故
を起こし、地元からは廃炉の要望があり続けたにもかかわらず、「多角的な検討の
中で答えを出していきたい」として、東電は、経営再建の柱に原発再稼働を掲げ
続けてきました。このタイミングでの廃炉表明の裏には、新潟県知事選で与党
候補が勝ち、柏崎刈羽原発の再稼働に明るい兆しが見えてきたこと、秋にある
福島知事選では現職の内堀知事が近く出馬する、という2つの知事選が関係
している、と福島県の自民党関係者は語っている、と伝えられています。当たり前
の判断をするのに、なぜこのように時間がかかったのか、また選挙がらみでの
表明ということは、なかなか納得できるものではありません。遅い判断ではあり
ますが、しっかり廃炉への責任を果たしてもらいたいと思います。福島第一原発
の事故処理費用は、当初見込んだ11兆円から22兆円と倍増しているそうです。
廃炉には、作業に30~40年かかり、費用は2800億円と見込まれています。
福島県が、東電福島第一、第二原発の全部を廃炉にする基本方針を打ち出した
のは、原発事故から3ヶ月後の2011年6月でした。それから7年、社長の言う
とおり、復興の足かせになっていました。是非、責任を持って廃炉作業を行うべき
ですし、今も国の管理下にあるので、国民が理解できる方向で経営再建をして
もらいたいと思います。また、東電は、与党系の知事になったから、柏崎刈羽原発
は再稼働の見通しがたったとみているということですが、自民・公明が支持した
花角知事は、柏崎刈羽原発について「県民の納得がない限り動かすことは
できない。」と主張してきました。当選後も、安全性の検証に今後2~3年を
要するという認識を示しています。与党系の候補が勝ったといっても、原発
再稼働については与野党ともに慎重な姿勢をみせて争点になりませんでした。
花角知事には、約束どおりの原発に対する政策を実行してもらいたいと思い
ます。