昨日12日は、テレビも1日中、トランプ米大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党

 

委員長との、シンガポール南部セントーサ島のカペラホテルでの会談を放送して

 

いました。あれだけ、罵りあい、ミサイルなどで戦争になるのでは、とも心配された

 

2人が、紆余曲折を経て、とにかく笑顔も見せて握手をし会談をしたことは、

 

よかったと思います。しかし、合意した内容については、辛口の評価が目立って

 

います。両首脳は、会談後「シンガポール共同声明」に署名をしました。トランプ氏

 

は「北朝鮮の安全を確約」し、事実上の体制保証をし、記者会見では、米韓軍事

 

演習の中止にも言及しました。金正恩氏は「朝鮮半島の完全非核化」を約束しま

 

した。トランプ氏は、適切な時期の訪朝に意欲を示し、正恩氏をホワイトハウスに

 

招待する考えも示した、と報じられています。2人の一挙手一投足に世界が注目

 

し、まるで政治ショーのようでした。30歳以上の年の差もあり、トランプ氏がリード

 

しているように見えましたが、会談の結果は、北朝鮮は最も欲しかった体制保証を

 

手にし、アメリカは、完全非核化といっても具体的な範囲も、工程も、時期も明らか

 

にできず、査察についても触れられていないなど、北朝鮮の方が得たものが多い

 

のではないかと思われます。完全非核化については、「完全で検証可能、

 

不可逆的な非核化(CVID)」が、受け入れられる唯一の結果だ、とアメリカの

 

ポンペオ国務長官は語っていました。事前交渉でも、アメリカは強く訴えました

 

が、時間切れで会談に入ってようです。トランプ氏は、記者会見で、文書にする

 

には「時間がなかった」と認めています。今後、アメリカはポンペオ国務長官が

 

中心になって実務的話し合いをする、ということですが、北朝鮮側が、誰が行う

 

のか明らかにしていないのも、気になります。安倍首相は、懸案の拉致問題を

 

トランプ氏が提起したことについて感謝していますが、これからは日本が直接交渉

 

に臨む必要があります。アメリカ頼りではなく、しっかり取り組んでほしいものです。

 

評価は様々ありますが、予測不能のリーダーのトランプ氏と金正恩氏が、会談を

 

実現させ、「才能豊かな男」「大統領に感謝」と、ともに相手を尊重する姿勢を

 

示したことは、喜ばしいことだと感じています。これは、スタートで、これから

 

どのように実効性のある完全な非核化などが行われるか、注視していきたいと

 

思います。