アメリカのトランプ政権は、イスラエル建国70年の14日、商都テルアビブの米

 

大使館を、イスラエルの首都と正式認定したエルサレムに移転しました。

 

パレスチナ自治区ガザでは抗議デモがあり、14日当日にイスラエル軍の銃撃

 

などでパレスチナ人41人が死亡、約1900人が負傷した、と報じられています。

 

3月末からの一連のデモで、1日の死者数としては最多になりました。軍に

 

よるとガザのデモは4万人を超えました。イスラエル建国で、パレスチナ人約70

 

万人が難民になった「ナクバ(アラビア語で大破局の意味)」から、15日で70年を

 

迎え、パレスチナ自治区では、14日に続いて米国大使館のエルサレム移転に

 

抗議するデモが行われました。イスラエル軍との衝突で犠牲者が増え、死者は

 

子ども7人を含む60人になり、2771人が負傷しました。生後8ヶ月の赤ちゃんも

 

催涙ガスを吸って死亡しました。イスラエル側は、「境界を防衛する義務がある」

 

として銃撃を加え、無人機を飛ばして、後方にいた女性や子どもにも催涙弾を投下

 

したとのことで、人道的にも非難の声が強まっているのは、当然のことだと思い

 

ます。エルサレムについては、国際社会が、2国家共存を和平交渉の原則に

 

据えてきたのに、トランプ大統領は自らが中間選挙で有利になるため等の理由で

 

勝手に、この原則を踏みにじった暴挙によって、多くの犠牲者が出ていることは、

 

看過できません。この移転については、イランなどが批判を強めていますが、

 

米国と近いサウジアラビアやエジプトなどは強硬姿勢をとれず、連帯できないで

 

いる、とのこと。イギリスのメイ首相は「地域の平和の展望に役立たない」と批判

 

しました。フランスのマクロン大統領は、トランプ氏にたびたび移転を思いどとまる

 

よう促していましたが、移転決定の際には「残念だ。フランスとしては認められ

 

ない」と批判しています。ドイツのメルケル首相も移転反対を表明し、ロシアの

 

ラブロフ外相は「エルサレム移転で、中東和平の行き詰まりはますます深まって

 

いる。すべての関係国が懸念している。」と述べました。日本では、外務省幹部が

 

「中東和平は難しい局面に追い込まれた」と懸念を示した、と伝えられています

 

が、エルサレムの最終的地位はイスラエルとパレスチナ間の交渉で決めるべきだ

 

との原則論を繰り返している、と報じられています。菅官房長官は、「厳しい状況

 

だからこそ、(日本独自の和平構想「平和と繁栄の回廊)構想を通じて対話の

 

機会を提供していく」と述べました。是非、中東での和平への展望を開くことに

 

主導的に関わってほしいものです。国連安保理は、15日、緊急の公開会合を

 

開きました。最近、複雑な国際情勢の中で、なかなか効力を発揮できていない感

 

のある国連には、第二次大戦の後誕生した時の理念を実現するために、力を

 

発揮してほしいと思います。