北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長と韓国の文在寅大統領が、27日に、板門店

 

の韓国側施設「平和の家」で会談し、「南北は完全な非核化を通して、核のない

 

朝鮮半島を実現するという共通目標を確認した」とする「板門店宣言」に署名

 

しました。年内に朝鮮戦争の終戦を宣言し、休戦協定を平和協定に転換する

 

ためアメリカや中国を交えた会談を推進することで合意しました。文大統領の今秋

 

の平壌訪問、共同連絡事務所の北朝鮮の開城への設置、敵対行為の中止でも

 

一致し、一切の武力不行使も確認しました。金委員長は、全ての合意を「徹底

 

履行する」と約束した、と報じられています。金委員長と文大統領が、軍事境界線

 

上で握手し、その後、金委員長が韓国側に、また文大統領が北朝鮮側に立つ

 

様子を、テレビは何回も放映していました。最大の焦点だった非核化について、

 

「核なき朝鮮半島の実現」が共通目標と確認しましたが、具体的な非核化の道筋

 

は示されていず、北朝鮮の核保有継続への懸念は、そのままです。南北首脳会談

 

は、米朝首脳会談への橋渡し、準備ともいわれていて、その点は米朝会談に

 

持ち越した、ということなのでしょう。それでも、昨年秋には、年が明けたら、

 

一触即発で、戦争になりかねないという見方があったことからすると、南北が

 

仲良くすることで、平和への一歩となることを望みます。金委員長のイメージが

 

だいぶ変わった、という声を聞きます。何とかアメリカからの攻撃を防ぐため、

 

用意周到、準備をしてきたことが窺われ、頭のよい人物という感じもします。

 

当初、拉致について触れられていないのでは、という懸念もありましたが、

 

文大統領と安倍首相の電話会談で、文大統領が日本人拉致問題を提起し、

 

金委員長が、「いつでも日本と対話を行う用意がある」と述べたことを伝えた、

 

そうです。拉致問題を前進させる、またとないチャンスと、昨夜放送の番組で、

 

蓮池薫さんが、インタビュアーの池上彰さんに話していました。これまでに聞く

 

ことがなかった話を、理路整然としていたのが印象的でした。まだ休戦状態だった

 

朝鮮半島での休戦協定を平和協定に転換するための会談が、南北にアメリカ、

 

中国を交えて行われる、ということで、日本は蚊帳の外ではないか、という見方も

 

ありますが、これは、そもそもの闘いが国連軍とのもので、日本は闘っていない

 

ので、当然の枠組み、ということです。米朝会談をした後、北朝鮮が日本とも話し

 

合うと言っているので、これからが、日本の知恵のしぼりどころだと思います。