政府は、昨日24日の閣議で、セクハラ疑惑が報じられた財務省の福田事務次官
の辞任を正式に決めました。セクハラ調査を継続するとして、懲戒処分を見送り、
退職金の支払いは留保する異例の対応になりました。退職金約5300万円を
留保し、調査の結果、減給などの処分に相当する事実が認められた場合は、減額
する、と報じられています。退職金を支払わなかったのは当然のことで、本来なら
自発的な辞任を認めるのではなく、官房付などにしておいて、処分対象にしておく
方法がよかったという指摘があり、私もそう思います。安倍政権は、女性が輝く
社会にすることを掲げていますが、今回のセクハラへの対応を見て、セクハラに
ついて理解していず、無神経な言動が多過ぎます。特にエリート中のエリートと
いわれる財務省では、各省庁の予算を握っているので、常に上から目線が許され
ていて、セクハラについての世論に触れる機会もなかったのかと思います。
これまでの言動としては、福田次官は全体としてみるとセクハラではない、発言の
相手が本当に女性記者なのかもまったくわからない、などと不自然な言い訳を
繰り返していました。麻生財務大臣も、福田の人権はどうなるのだ、とか質問する
記者を逆に問い詰めたり、昨日は「はめられて訴えられているんじゃないかとか、
ご意見は世の中にいっぱいある」と述べ、あきれてしまいます。その発言のもとに
なっているのは、下村元文部科学大臣が、22日の講演会で、テレビ朝日の女性
記者が録音し、週刊誌に渡したことについて「ある意味で犯罪だ」と述べ、撤回し
謝罪したものです。また、自民党の長尾議員が、ツイッターにセクハラへの抗議を
する野党女性議員を揶揄するような投稿をしました。財務省では、週刊誌報道の
直後から、被害を受けた女性に財務省の顧問弁護士に話すよう求め、セクハラ
への対応がわかっていないと批判されています。そして、次官がいない中で、
事実上の官僚トップになる矢野官房長は、「名を伏せて弁護士に話すのが
そんなに苦痛なことか」と、これまたセクハラへの無理解な発言をしています。
すでに、ネット上などで、女性記者をたたくものが多く見られるということで、二次
被害を防ぐ必要があります。国会内では、100人を超す弁護士や大学教授などが
実行委員会を立ち上げ、約200人が集まり「特別な誰かの被害ではない」
「セクハラを黙認するのはもう終わりにしよう」といった声が上がり、被害者を孤立
させない、として、「#With You」と書いた紙を掲げました。テレビ朝日は、角南
社長が、昨日の会見で、女性社員が事実を報道すべきだと訴えたが報道しな
かったことについて、「上司は「今のメディア状況の中で、自分の経験からしても
現実的に放送は難しい」と社員に説明したそうです」と述べています。メディア
状況とは、「このタイミングで出すことは、なんらかの我々の意図があると思われ
かねない。そういう意味合いがあったと見ている」としています。テレビ朝日が
安倍政権を倒すことを狙って、と見られることを懸念したと思われますが、
放送すべきだったと思います。一方、週刊誌に情報を提供したことについては、
「公益目的からセクハラ被害を訴えたもので、理解できる」としていて、これまでの
「不適切な行為で遺憾」とは異なり、納得できるものだと思います。麻生大臣の
責任を含めて、きちんと対応されることを望みます。今回の事件を契機に遅れて
いるセクハラへの理解が、日本で進むとよいと思っています。