安倍政権が、今の国会の最重要法案としている働き方改革関連法案が、一昨日
6日、国会に提出されました。労働に関する規制強化と規制緩和の内容を抱き
合わせて、8本の改正案を束ねてあり、別々に丁寧に審議すべきということは、
これまでも指摘してきました。裁量労働制の拡大を目指していましたが、ご承知の
ように、厚生労働省からのデータが比較できないものを比較していて、それに
基づいた答弁があった等で、裁量労働制に関する部分を除いた関連法案に
仕立て直すのに時間がかかり、ようやく提出したものです。規制強化の、非
正社員の待遇改善を目指す「同一労働同一賃金」は、内容が不十分ではあります
が、成立させた方がよい改正案だと思います。労働時間規制の強化も必要な改正
ですが、上限を100時間としたのは、過労死ラインになり、過労死家族の会など
から反対も出ています。でも、これもないよりは改正した方がよいかと思います。
一方で、「残業代ゼロ」法案といわれ何回も国会で見送られてきたホワイトカラー
エグゼンプションを、「高度プロフェッショナル制度」として導入する規制緩和の
法改正が、与野党の攻防の焦点になると見られています。この制度は、「スーパー
裁量労働」ともいわれていて、裁量労働は、残業時間が一定とみなされることは
あっても、深夜・休日労働をした場合は割増賃金が必要になります。ところが、
高度プロフェッショナル制度では、労働時間と賃金の関係がなく、そうした割増
賃金も払われません。政府は、高度プロフェッショナル制度の適用には本人の
同意が必要であること、年収約1千万円以上に対象が限定されていること、
適用者には年104日の休日を与えることを義務づけるなどの健康確保措置を
設けることなどを説明しています。しかし、例えば、4週間で4日休ませれば、あと
の24日間は24時間働いても違法にならず、裁量労働制以上に、労働者が
守られない制度であることは確かだと思います。しかも、導入を要望している
経済界からは、法改正の前から、約1千万円以上から始めて、もっと年収が低い
労働者にも広げていきたい、という声がすでに聞こえています。一度ハードルを
はずせば、どこまで広がるか、わかりません。やはり、労働者を守る法案と規制を
緩和する経済界からの要望をきいた法案は、別々にしっかり議論してほしいと
考えます。