4月になって、入学の季節になりました。どのような家庭に生まれても、平等に

 

学べる社会になってほしいと思っています。しかし、現実には、7人に1人の子ども

 

が貧困で、貧困な家庭では高等教育が受けにくいということがあり、貧困の連鎖の

 

原因にもなっています。奨学金をもらって大学に行き、その返済ができずに、本人

 

だけでなく、保証人になった両親など親族も自己破産するケースが伝えられて

 

います。奨学金は、いわば借金でローンと呼んでほしい、という声が紹介されて

 

います。2015年度に抽出調査したところ、3ヶ月以上滞納している人では、申し

 

込み手続きを行う前に返す義務があると知っていたのは51%にとどまっている、

 

とのこと。こうした結果を受けて、日本学生支援機構では、昨年末ファイナンシャル

 

プランナーを高校などへ派遣する試みを始め、「奨学金は借金」と伝え、就職後

 

奨学金を返しながら生活すること具体的にイメージさせたいとしています。試み

 

だけではなく、もっと徹底して情報を伝えることが必要だと思います。若い人の

 

雇用形態が、非正規雇用が4割ほどになり、収入が少なく返せないこともあり、

 

若い人の働き方こそ、改革しなければならないと考えます。だからこそ、返済しなく

 

てよい給付型の奨学金を増やすべきなのですが、政府の「教育無償化」は、年間

 

8千億円の予算で、進学者全体のごく一部しかカバーできません。所得の低い

 

世帯の子に限って授業料の減免や奨学金給付を進めることを、昨年末に閣議

 

決定していますが、対象校を絞り込むような要件をつけていることが批判されて

 

います。職業に結びつく教育を行う必要があるので、実務家教員が受け持つ授業

 

や、外部から招く理事が一定割合を超える学校に限る、というのです。これは、

 

学問の自由の保障や大学への介入に関わることともいえ、問題だと思います。

 

学びへの支援としては、長野県飯田下伊那地域の14市町村が、企業版ふるさと

 

納税制度を活用して企業から寄付を募り、「航空機システム共同研究口座」

 

の学生に奨学金や研究費を支給する計画を進めている、ということが報じられて

 

います。ふるさと納税の活用も検討されてよいと思います。また、塾に通えない

 

高校受験の中学3年生に塾代に使える20万円のクーポンを贈ろうと、ネットで

 

寄付を募るクラウドファンディングを活用した「スタディクーポン・イニシアティブ」

 

が、若い世代を中心に広く支持されている、ということもあります。知恵をしぼって、

 

学びを支援できればと思います。