日本原子力発電(原電)が運営する東海第二原発(茨城県)の再稼働や延長運転
に関して、東海村に加えて、周辺5市の事前了解が必要とする安全協定を、昨日
29日、原電と6市町村が、新たに締結したと報じられています。事前了解の対象
が、立地自治体の周辺に広がり、明文化されるのは初めてのことです。協定書は
6条で、法的拘束力はありませんが、6市村が、事前に意見を述べたり現地確認
を求めるほか、安全対策を要求したり、「実質的に事前了解を得る仕組みとする」
としています。立会人として県も参加する協議会を新設することも明記されました。
東海第二原発は、2011年の東日本大震災を受けて停止しています。今年11月
に原則40年の運転期間を終えるため、延長運転に向けて、安全性の基準に適合
するかどうか、国の原子力規制委員会による審査が続いています。これまでにも
何回も指摘してきましたが、原発から30キロ圏内は、事故に備えた避難計画策定
を義務づけられていて、影響がある範囲ということになっているのに、再稼働に
ついて意見を述べるなどの権限がなく、これはおかしいということです。今回、東海
第二原発の再稼働を巡って、周辺の5市が、日本原子力発電に、初めて事前了解
を認めさせたことは、おかしい枠組みを変えるために、大きな一歩だと思います。
あれだけの原発事故があったのに、次々と原発の再稼働が認められています。
3月23日に再稼働した大飯原発3号機も、地形が複雑な半島部にあって、
周辺には島も多く、事故が起きれば道路の渋滞や避難用の船の不足など、大きな
混乱が予想されます。そして、30キロ圏内にある3県8市町のうち、4市が反対を
表明していたのに、地元の同意手続きには関われず再稼働されています。今回の
30キロ圏内の5市の了解が条件という協定が、他の電力会社にも、事前了解の
範囲の見直しのきっかけとなることが望まれます。