先日の介護報酬改定で、病院ではなく生活の場で最期を迎えられるよう、施設

 

でのみとりに加算されることになりました。ただ実際には、特養の施設内で

 

みとられるのは、4割程度ということです。世界一の超高齢社会の日本では、

 

最期をどう迎えるのか、介護施設に入れるのかなど心配が尽きません。特養=

 

特別養護老人ホームは、社会福祉法人や自治体が運営し、入浴やトイレ、食事

 

などの介助を行います。国や自治体から建設助成を受けることから、民間企業

 

などが運営する有料老人ホームより利用料が一般的に安いため、希望者が多く

 

なります。厚生労働省によると、2016年4月時点で、入居を希望したのに入れな

 

かった待機者は約36万6千人とのこと。その特養の優先入所枠を複数の自治体

 

が補助金によって確保している、と報じられています。「ベッド買い」と呼ばれ、

 

住んででいる地域や所得に関わらず、平等に福祉サービスを受けられる介護保険

 

制度の趣旨に反している可能性が高いもので、厚生労働省が実態を把握する

 

ための検討を始めました。この「ベッド買い」では、自治体が補助金を支払う

 

見返りに、自らの住民が優先的に入所できる枠を確保しています。特養の入所

 

待機者が最も多い東京都内の23区市が、こうした協定を結び、計3328の

 

入所枠を持っていた、ということです。ベッド買いをめぐっては、16年前の2002年

 

に、津地裁で違法判決が出ていますが、それ以降も続いています。特養を建設

 

するより安くあがる、ということのようです。この問題については、建設への補助金

 

ではなく要介護者の負担軽減に使うべき、民間参入の規制を緩和すれば利用料

 

は下がって介護の質は上がる、などの意見も出されています。介護保険制度の

 

趣旨にあった運用がされることが必要だと思います。一方で、特養で職員不足

 

など体制の不十分さを理由にベッドに空きがある施設が1割以上あることが、厚労

 

省の委託調査でわかっています。開設してから約10年以内の1151施設を対象

 

にした調査で、13.5%の施設が「職員不足」や「医療的ケアに対応できない」を

 

理由に空きベッドがある、と答えています。利用者が入院したり亡くなったり、緊急

 

対応目的も含めて空きベッドがあると回答したのは、対象施設の4分の1にあたる

 

143施設でした。介護職員については、処遇の低さが、保育士同様、指摘されて

 

いて、消費増税などによって、処遇を改善することになっていますが、まだまだ

 

不十分で、介護人材確保に、もっと本腰を入れてほしいと思います。