佐賀県神埼市の住宅に、5日午後、陸上自衛隊所属の2人乗りAH64Dへり

  

コプターが、整備点検後の試験飛行中に墜落、炎上した事件で、整備等の体制の

 

問題が指摘されています。炎上した2階建て住宅には4人が暮らしていて、家に

 

いた小学5年の女の子(11)が、右ひざを打つ軽いけがをしました。この女の子

 

は、割れた窓から素足で脱出し、ショックで何もしゃべれなかったり、泣きじゃくっ

 

たりしていた、ということで、心のケアも必要だと思います。このような民間の住宅

 

に自衛隊のヘリが墜落するなど、言うまでもなくあってはならないことで、徹底的な

 

原因究明と対策をとってもらいたいものです。この事故で、搭乗していた自衛隊員

 

2人が亡くなっています。その後の報道では、墜落前5分間に異常が発生し、

 

現場からは、メインローター(主回転翼)2本がみつかり、事故直前に交換されて

 

いたエンジンに出力を伝えるメイン・ローター・ヘッドという部品も見つかったと報じ

 

られています。墜落時に、民家を避ける時間もなく、主回転翼がはずれてほぼ

 

垂直に墜落していて、全く機体を制御できない状態だったのではないか、と分析

 

されています。近年、自衛隊機の事故が相次いでいます。昨年は5月に北海道

 

北斗市の山付近で大破した陸自の連絡偵察機が見つかっています。8月には、

 

青森県沖で海自の哨戒ヘリが墜落し、10月には浜松市沖で空自の救難ヘリが

 

墜落しています。その背景には、北朝鮮情勢などによって任務が増え続け、

 

訓練が十分できていないことを指摘する声もある、ということです。現場は常に

 

任務に追われていて訓練時間が確保できず、パイロットの技量が落ちていると

 

のこと。また、沖縄の米軍機の事故の時と同様、熟練度が十分でない整備士が

 

増えているという問題も指摘されています。どんなに忙しくても、国民の安全を

 

脅かす事故は防がねばならず、そのためには、今回の事故の調査だけでなく、

 

抜本的な問題への取り組みが欠かせず、課題を究明して対応することが必要

 

です。国民の信頼がなければ、自衛隊の活動は成り立たないと思いますから。