厚生労働省の医師の働き方を議論する検討会が、昨日15日、看護師などとの
業務分担や勤務時間の的確な把握、当直明けの負担軽減を医療機関に求める
等の緊急対策の骨子案を示しました。その中で注目されるのは、診療の求めを
原則、拒めないと医師法が規定する「応召義務」を今後の論点として挙げたこと
です。この応召義務は、明治時代の旧刑法で罰則の付いた規定でしたが、戦後
も罰則はないものの医師法に残り、医師の働き方の特殊性を象徴する規定と
いわれています。政府の働き方改革の一環としての労働基準法改正案でも、
医師はこの義務の存在を理由に5年間は適用を猶予としています。医師は
忙しすぎて、過労死や過労自殺が後を絶ちません。現在、過労死家族の会の会長
をされている方も、過労死された小児科医のご家族です。私が国会議員や、厚生
労働副大臣・大臣をしている時も、官僚の人たちが、医師に労働基準法を適用
したら、日本の医療は成り立たない、などと言っていました。しかし、医師が心身
ともに健康な状態でなければ、よい医療ができるはずがありません。医師の働き
方改革の緊急対策案のポイントは、○労働時間の的確な把握 ○労働協定
(36協定)を超えた時間外労働をさせていないかの確認と、設定時間の見直し
○薬や検査手順、入院の説明、診断書入力の業務移管 ○勤務間インターバル
の導入検討。当直明け勤務の負担軽減 ○短時間勤務など柔軟な働き方の導入
や保育サービスの充実などです。一昨日1月14日にも、日赤医療センター(東京
都)が、医師の残業時間を「過労死ライン」の2倍に当たる月200時間まで容認
する労使協定(36協定)を結んでいることがわかった、と報じられていました。
残業が多いのは、外科、小児科、産科、救急科で、こうした科には医師が集ま
らず、医師の偏在の原因にもなっています。患者の側でも、便利だからと、ちょっと
した熱などで夜中に緊急で診てもらうコンビニ外来などといわれている、医師への
かかり方を改める必要があります。確かに、いつでも診てくれる医師が確保されて
いることは安心につながりますが、大きな病院も救急車もなかった時代に作られた
規定は、今にあった形に見直して、医師の働き方を改めていければと思います。