韓国の康外相が、9日、従軍慰安婦問題の解決を確認した2015年12月の日韓

 

合意に関する韓国政府の新方針を発表しました。韓国の発表の骨子は、○日本

 

拠出の10億円と同額を韓国政府が用意し扱いを日本と協議する。○2015年の

 

合意では問題解決できない。○合意は公式のもので否定はできず、日本に

 

再交渉は求めない。○日本政府が被害者の心を癒す努力を続けることを期待

 

する。○被害者の望みは心のこもって謝罪だ。○被害者の名誉回復などに韓国

 

政府として努力する。○歴史問題を賢く解決し日本との未来志向的な協力のため

 

努力する。というものです。日韓合意の見直しを公約に大統領に当選した文

 

大統領としては、10億円を返すべきだという一部の元慰安婦の主張をいれて

 

いるのでしょう。一方で、日本との関係からも、再交渉は要求しない、としていて、

 

両方を立てようとして、迷走しているようにしか思えません。いわゆる従軍慰安婦

 

の問題は、あってはならない人権問題で、日本としては、河野談話をはじめ、合意

 

の際にも安倍総理が謝罪しています。国際的にも、2国間の合意が、政権が

 

代わったからといって見直されるということは、考えられないことです。日本拠出の

 

10億円の扱いなどを日本と協議する、としているのは、再交渉に結びつくのでは、

 

と日本政府は危惧している、と報じられています。2015年の岸田外相の時の

 

日韓合意は、当時のアメリカのオバマ大統領の働きかけもあり、実現したもので、

 

ようやくこれから日本と韓国の関係がよくなると期待されました。アジアでも世界の

 

中でも、日本と韓国が対立していてよいことは何もありません。特に、現在の

 

北朝鮮の脅威にどう対応するかについては、日米韓の連携が欠かせません。この

 

韓国の新方針に日本政府は抗議し、平昌五輪への安倍総理の出席も、国会開会

 

中ということもありますが、見送る方針とされています。日本の拠出金を財源として

 

財団が行った現金支給事業では、合意の時点で存命だった元慰安婦47人の

 

うち36人が受け取ったか受け取る意思を示しました。両国の正式の合意を基に

 

日本としても、さらに納得が得られるように努力することは、もちろん必要だと

 

思います。しかし、せっかくの合意の意義を見失ったような文政権の迷走ぶりは、

 

韓国のメディアからも批判されている、とのこと。人権問題には真摯に取り組み

 

つつ、多くの懸案に、ともに取り組める日韓関係であってほしいと思います。