将棋で史上初の「永世7冠」を達成した羽生善治氏(47)と、囲碁で2度目の7冠
独占を果たした井山裕太氏(28)への国民栄誉賞の授与が、昨日5日、正式に
決まりました。棋士の受賞は初めてで、表彰式は2月13日に行われる、ということ
です。国民栄誉賞は、表彰規定に「広く国民に敬愛され、社会に明るい希望を
与えることに顕著な業績」としているだけで、具体的な基準はなく、その時々の
首相が、ふさわしいと認めた場合に、有識者の意見を聞いたうえで決めることに
なっています。これまでに、1977年の福田首相の時の、王貞治氏(プロ野球
選手)と古賀政男氏(作曲家)が最初の受賞者で、その後、千代の富士、美空
ひばり、黒澤明など、そして2016年の伊調馨(レスリング選手)まで、23人と
1団体(なでしこジャパン)が、受賞しています。その時の政権の人気取りという
見方も、2013年に野球の長嶋茂雄さんと松井秀喜さんがダブル受賞した直後に
安倍政権の支持率が5ポイント上がった等からありますが、明るい話題は、よい
ことだと思います。今回の受賞決定を受けて、羽生氏は「私個人の活動という
より、将棋界の積み重ねが合わせて評価されたのでは」と語り、これだけの偉業を
達成したのに、まだ自分は将棋をわかっていないということも話していて、あくなき
探究心が感じられます。井山氏は「囲碁界が注目していただけたことがうれしい。
賞に恥じないよう囲碁界全体を盛り上げていきたい」と語っています。まだ20代
で、これからが楽しみです。昨年の藤井さんによって将棋が注目されたことは特別
ですが、日頃地味な努力を重ねてこられた方たちに注目が集まるのは、うれしい
ことです。