トランプ大統領が、エルサレムをイスラエルの首都と正式に認定した問題で、

 

国連総会(193ヶ国)の緊急特別総会は、21日に、米政府を批判し、認定の

 

撤回を求める決議案を賛成多数で採択しました。賛成は128、反対が9、棄権が

 

35でした。アメリカが、この採決を前に、経済支援削減も示唆して、賛成しないよう

 

踏み絵を各国に迫ったことが批判されています。このアメリカの圧力によって、

 

南アメリカ、アフリカなどアメリカの経済支援を必要としている国が棄権にまわり、

 

予想より増えた、ということです。それでも128ヶ国が賛成したことは、アメリカの

 

孤立ぶりを鮮明に示している、といえます。いつもアメリカに追随している日本が、

 

「イスラエル・バレスチナ間の紛争の二国間解決を支持している。エルサレムの

 

最終的地位の問題も含め、累次採択されてきた関連安保理決議やこれまでの

 

当事者間の合意などに基づき、当事者間の交渉により解決すべき立場だ。」と

 

菅官房長官が述べ、決議案に賛成したことは、よかったと思います。

 

こうした動きをうけて、河野太郎外相が、中東を歴訪中で、トランプ大統領が

 

エルサレムをイスラエルの首都と宣言して以降、主要国の外相として、初めて

 

イスラエルとパラスチナを訪問し、25日、両首脳と会談しました。河野大臣は、

 

イスラエルのネタニヤフ首相、パレスチナ自治政府のアッバス議長と会談し、

 

「エルサレムの最終的地位は当事者間の交渉により解決されるべきだ」という考え

 

を伝えました。ネタニヤフ氏とは認識が一致し、アッバス氏も対話や交渉を引き

 

続き進めていくことに意欲を示した、と報じられています。河野外相は、中東問題

 

をライフワークとしていて、外相に就任して以来、中東地域への日本の関与は

 

強まっている、とのこと。外務省幹部は、「パレスチナ側は「米国が仲介者の役割

 

を放棄した」と受け止めている。日本は双方と良好な関係を築いていることから、

 

中東和平に向けた役割を果たしたい」と意欲を見せている、とも伝えられて

 

います。トランプ氏のエルサレム首都宣言で、中東和平交渉の再開は遠ざかった

 

現状の中で、イスラエル、パレスチナを動かすことは容易ではないですし、この

 

問題で、あくまでアメリカとつかず離れずの距離にあるとされている中で、和平

 

交渉の仲介が難しいことは理解しますが、アッバス氏にも、この訪問を「久しぶりに

 

いいニュースだ」といわれた、河野外相の力に期待したいと思います。