先日14日に、自民・公明両党は、2018年度の与党税制改正大綱を決定

 

しました。子育てや介護のない年収850万円超の会社員=高所得者の給与・

 

年金にかかる税金を上げ、自営業やフリーで働く人は減税にします。会社員の

 

必要経費とみなされている給与所得控除の引き下げと、納税者全員が受けられる

 

基礎控除の引き上げをします。この所得税改革は、2020年1月に実施される

 

予定です。働き方が多様化している中で、方向性としては評価できますが、格差を

 

是正するには、まだ不十分だと思います。本来、税制には、所得格差を是正する

 

再分配機能が求められますが、日本では、最高税率が75%から現在は45%に

 

引き下げられ、累進課税がフラット化されすぎ、富裕層が優遇されていて、格差が

 

拡大する要因になっています。税金と社会保険料を支払うことによって、特に

 

子育て中の働く女性にとっては、さらに格差が拡大する、という現象が起きて

 

いるのが現状です。与党では、控除全体の見直し案を2018年度税制改正で

 

検討する方針を示していました。計算方式の変更などで、高所得者により負担を

 

求めて、所得の低い若者や子育て世帯に恩恵が及ぶ仕組みも検討対象でした

 

が、支持率低下などを恐れて先送りされた、と報じられています。富裕層の優遇に

 

つながっている、税率が20%程度の利子・配当・株式譲渡益などが一定税率

 

で分離課税される方式も見直す必要があります。2018年度の税制改正では、

 

この他、紙巻きたばこの段階的な増税や、森林整備に使う森林環境税と出国時

 

に徴収する観光促進税の新たな税の創設も盛り込まれています。全体に、大きな

 

改革は先送りして、取りやすいところから取るという姿勢がみえて残念です。