日本人の働き過ぎを表すデータが、明らかになりました。日経平均株価を構成
する東証1部上場255社を、朝日新聞が調査したところ、過半数にあたる125社
が、今年7月時点で、「過労死ライン」とされる月80時間以上まで社員を残業させ
られる労使協定を結んでいたことがわかった、と報じられています。そのうち少なく
とも41社が、月100時間以上の協定を結んでいた、とうことです。時間外協定は、
36協定といわれ、法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超えて社員を働か
せるには、残業時間の上限を、この協定で労使で結び、労働基準監督局に届け
出る必要があります。月45時間、年360時間を上限とする基準がありますが、
特別条項をつければ、年に6ヶ月までは、上限を何時間にでも設定でき、事実上
青天井になっています。この調査と情報公開請求などによって、月間の協定時間
が100時間以上だったのは、全体の3割にあたる68社ということがわかりました。
昨年10月時点で、最長の月間の協定時間は、IHIと関西電力の200時間で、
次いで日本たばこ産業(JT)の165時間です。IHIは、7月時点で150時間に引き
下げましたが、この時点でも大成建設、大林組などと並んで最も長かった、という
ことです。関西電力は、7月時点で80時間に引き下げました。いくら繁忙期に
備えて、といっても、1ヶ月このように過労死ラインを超えて残業していれば、健康
も損ないますし、家族と過ごす時間などもなく、ワークライフバランスは崩壊して
人間らしく生きられなくなってしまいます。政府が目指している残業の上限規制
でも、過労死ラインを上限としたら、どの企業もそこまでは残業をさせてもよいと
考えるのではないかなどの批判が、過労死の家族の会などから出ています。
それでも、この調査結果をみると、残業が規制されるようになると、上限を見直さ
なければならない企業が多くあることから、ないよりは規制したほうがよい、という
ことだと思います。