文部科学省の大学設置・学校法人審議会は、昨日10日、林文部科学大臣に
対して、学校法人「加計学園」(岡山市)が、政府の国家戦略特区制度を活用して
愛媛県今治市に岡山理科大獣医学部を新設する計画を「可」と答申した、と発表
しました。林大臣は、記者会見で「答申を尊重する」と述べ、近く認可を最終決定
する意向を表明した、と報じられています。来年4月開学が、事実上決まったこと
になります。大学設置・学校法人審議会の答申のポイントは、○加計学園の獣医
学部新設を「可」とする ○140人という最大規模の定員となるため、教育研究に
支障を来さないこと ○高齢の職員の割合が高いことから将来を見据えた組織
編成が必要、ということです。この審議会は、学校法人「加計学園」の獣医学部
新設計画の認可答申に関して、審査段階の意見内容や学園の提出資料を公表
しました。これは異例の対応で、「加計ありき」という疑惑を払拭して、審査の正当
性をアピールする狙いがある、とみられています。公表された資料からは、獣医師
の需要に審議会が疑義を呈したことなど、疑念が表面化し、特別国会での審議に
影響を与えることになりそうです。安倍総理の「腹心の友」の加計理事長に役人が
忖度したのではないか、また安倍総理が国会答弁した今年1月20日に初めて
知ったというのはおかしい、また前川前文部科学次官の告発など、様々な疑念
は、総選挙を経ても全く払拭されていません。政府は、特区の獣医学部新設に
「新たな分野の需要がある」などの4条件を必要としていますが、設置審議会
は、審査段階で、学園などが計画の目玉と位置付けたライフサイエンス分野の
獣医師の養成に関して「必要性が不明」と言及しています。獣医学部の要と
される実習についても、審議会は9点もの不備を明示している、とのこと。また、
140人の学生に対して、教員が少なく、しかも高齢の職員が多いこと等、なぜ「可」
としたのか疑問な点が多々あります。特別国会で、来週には文部科学委員会での
この件の審議が予定されていますが、ここでも自民党は、与党の質問時間を
増やして、野党と「5対5」にするよう要求していて、何とか追及を少なくしようと
しています。行政をチェックするという野党の役割からして、これまでのように
与党対野党は「2対8」で行うべきだと思います。これだけ疑念の多い新設計画
は、一度白紙に戻して、透明性を確保してやり直した方がよいのでは、ないで
しょうか。そのためにも、国会で、中身のある審議が行われないと、私たち国民
は、都合の悪い事実は隠ぺいをして、総理のお友達のために計画を強行した、
と疑念をさらに深めることになります。