今後6年間の国のがん対策の指針となる「第3期がん対策推進基本計画」が、
昨日24日、閣議決定されました。予防を重視し、○感染症対策、生活習慣の
改善 ○検診受診率50%を目標 ○精密検査受診率90%を目標などとして
いますが、予防可能ながんのリスク因子とされる受動喫煙の目標値は盛り
込まれませんでした。前回の第2期の時は、私が厚生労働大臣をしていて、
初めて、喫煙率の目標値12%、を盛り込みました。また、労働安全衛生法の
議論の中等で、2020年までに職場での受動喫煙をゼロにすることも決めて
いました。ところが、自民党が政権に戻り、タバコ関連産業の応援を得ている
議員が多いこと等から、たばこ対策の議論は後退しています。受動喫煙に
よって、年間1万5千人もの人が死亡しています。たばこを吸っている人より
煙を吸わされている受動喫煙の方が、健康被害が大きいことも疫学的に
証明されています。2020年の東京オリンピック・パラリンピックは、このところ
の開催国同様、煙のない環境にするために受動喫煙を禁止することが求め
られています。そうした中、がん対策推進協議会では、2020年までに、
「飲食店や職場、家庭など全ての場所でゼロ」にするという新しい目標を
盛り込む方針で一致していた、と報じられています。しかし、健康増進法の
改正案が、国会で自民党の反対により調整がつかず、提出もされません
でした。改正案がまとまれば、内容に沿って、がん計画に追加する方針、と
いうことですが、是非、早く目標値を盛り込み、たばこ対策を国際水準に
あわせてほしいと思います。一方で、政府与党は、2018年度税制改正で
タバコ税を増税する方向で検討に入った、と報じられています。喫煙を
している人でも禁煙したいと思っている人が多く、禁煙の近道はタバコ
価格が上げること、という答えが最も多くなっています。その中で、宮沢税制
調査会長は、税負担が相対的に軽い加熱式たばこの増税方針を表明して
いる、とのこと。日本禁煙推進医師歯科医師連盟が、「加熱式タバコに対する
運営委員会緊急声明」を先日出していますが、その中にもあるように、「加熱式
タバコは、タバコ葉を使用したタバコ製品であり、タバコ葉を使用しない電子
タバコと混同して論じるべきではない」ということです。いかにも普通のタバコ
より害が少ないような印象操作がされていますが、有害なので税も高くすること
は当然だと思います。また、一般のたばこの税の引き上げも合わせて実現し、
とにかく、できる方法を駆使して、たばこによる健康被害を防いでほしいと思い
ます。