選挙の公約で、各党は「教育の無償化」を掲げています。確かに、日本の教育

 

予算は、OECD諸国の中で最低レベルなので、教育の無償化ということは、

 

多くの有権者に響くのかと思います。これだけ格差が開き、子どもの貧困が

 

問題となり、貧困家庭の子どもは高いレベルの教育が受けられず、貧困の連鎖

 

が心配されています。教育予算を増やすのはよいのですが、幼稚園や保育所

 

では、家計が苦しい世帯向けに減免処置がすでにあります。無償化で恩恵を

 

受けるのは中間層と富裕層になります。教育の無償化の財源として、自民党・

 

公明党は、消費増税のうち、将来世代に負わせる借金を減らそうとしていた

 

部分の使い道を変えて、充てるとしています。これは、民主党政権の時に、

 

民主・自民・公明の3党で合意した、税・社会保障一体改革の考え方と異なり

 

ます。この時は、消費増税は、政争の具とはせず、社会保障を維持・拡充する

 

ことと合わせて、将来世代の借金を減らすことにあてる、と合意しました。

 

ところが、安倍政権は、消費増税の2段階目8から10%にすることを2回に

 

わたって先送りし、保育士の処遇を上げるなどの質を上げる部分が実現して

 

いません。今回、次は上げるが、使い道を変える、ということには同意しかね

 

ます。富裕層まで含めて教育無償化をして人気取りをするより、当初の予定

 

どおり、保育所の量や質の充実に充てることが筋だと考えます。野党も教育の

 

無償化を公約に掲げていますが、その財源として、希望の党は大企業の内部

 

留保への課税を挙げていますが、具体案は示されていません。立憲民主党は

 

所得税や相続税の改革を挙げ、共産党は高額資産に課税する富裕税の創設

 

などを挙げています。納得がいく財源確保の具体策がないままに、人気取りで

 

「教育無償化」を掲げるのは、困ります。自民・公明の消費増税の使い道を

 

変えるということは、同意を得やすいかもしれませんが、結局は将来世代に

 

負わせる借金を増やして賄うことになることを理解していただきたいと思い

 

ます。